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» 2013年06月13日 17時00分 UPDATE

ビジネスニュース 企業動向:あの評価ボードのトランスが手に入る! 欧州大手受動部品メーカーが日本上陸

欧州受動部品大手でドイツに本社を置くウルト・エレクトロニク(Wurth Elektronik eiSos)は、エレクトロニクス商社のアルティマと日本における販売代理店契約を締結し、日本でのビジネス展開を本格的にスタートさせた。

[竹本達哉,EE Times Japan]
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 国内受動部品市場は、世界有数のシェアを誇る日本メーカーが多くひしめき、外資系メーカーの存在感はとても薄い。海外の受動部品メーカーにとって日本は極めて高い参入障壁がある市場と言える。これから日本参入を果たそうとする独ウルト・エレクトロニクのCEO(最高経営責任者)のThomas Schrott氏もそれを自覚する。


tt130613WE002.jpg ウルト・エレクトロニクのCEO(最高経営責任者)のThomas Schrott氏(右)とEMC&インダクタ部門のグローバルディストリビューションマネージャを務めるLars Fahrbach氏

 「日本市場は、世界に名だたる競合メーカーが多数存在し、難しい市場であることは理解している。これまで、ほぼ日本での売上高がゼロに等しかったわれわれが、短期間のうちに、立派な数字を日本で売り上げることは不可能だとも思っている。しかし、われわれは競合メーカーにない付加価値サービスであったり、製品・技術であったりなどの強み、特徴を持つ。知名度を向上させながら、徐々に信頼を獲得する地道な活動を5〜6年というような一定の時間をかけて進めていく」と、日本でしっかりと腰を据えたビジネスを展開していく姿勢を示す。

tt130613WE003.jpg ウルト エレクトロニクの受動部品製品ラインアップ (クリックで拡大)

 日本では実績のない同社だが、海外ではフェライト、インダクタ、トランスなどの大手受動部品メーカーであり、「地元欧州では、ノイズ対策用受動部品ではトップクラスのシェアであることを自負している」という。さらに、テキサス・インスツルメンツ、アルテラ、リニアテクノロジー、NXPセミコンダクターズ、IDTなど欧米半導体メーカーが提供するリファレンスボードに標準部品としても多く採用され、「ICのリファレンスボードを見てもらえれば、ウルト・エレクトロニクの業界での地位を理解してもらえるだろう」と胸を張る。

期待する以上の付加価値サービス

 同社が海外で確固たるポジションを築いた理由として、「“more than you expect”(期待する以上のモノを)というスローガンを掲げて取り組む付加価値の高いサービスの提供ができているからだろう」と説明する。そして、付加価値サービスの代表例として「MOQ(Minimum Order Quantity:最低発注数量)がないこと」を挙げる。一般的に、受動部品を購入する場合、MOQ1000個などと設定され、少量生産を行う用途でも余剰な部品を購入せざるを得ないケースがほとんどだが、ウルト・エレクトロニクでは1個からの受注を受け付ける。

「スマホ向けには売らない」

「当社は、徹底した付加価値サービスを提供するため、スマートフォンなどのモバイル機器やテレビなどのAV系コンシューマ機器向けのビジネスはしない。生産量の変動が大きく、納期や品質面などで、多くの顧客に迷惑をかける恐れが強いからだ。産業機器を中心に白モノ家電や医療機器などの分野に特化しているからこそ、MOQを設定しないビジネスが可能だ」という。

 付加価値サービスは、MOQ以外にも、品質面、納期面でも徹底する。品質面では、欧州、北米、アジアに品質管理センターを設置。EMC&インダクタ部門のグローバルディストリビューションマネージャを務めるLars Fahrbach氏は、「当社はミリタリー向けの販売は行わないものの、高い品質を要求される用途に対しては、ミリタリー向けの品質検査を実施するなど、不良率ゼロを目指したより厳しい品質検査を実施し、信頼獲得につなげている」という。納期面では、2009年の四川大地震などを教訓に、マルチファブ体制を敷くとともに、全製品で常に十分な在庫を持ち、災害や大きな需要変動が生じた際にも納期を厳守できる体制を敷いているという。もちろん、販売サポート面も注力し、全世界にセールスエンジニアを400人以上配置しているという。

「日本進出の体制が整った」

 Fahrbach氏は、「一部、海外で取引がある日本企業からは、“日本国内でもウルトの製品を買いたいいう要望もあり、以前から日本に進出したいと考えていた。しかし、われわれの特徴である付加価値サービスを提供できる体制が日本にはなく、進出を諦めていた。しかし、サポート力のあるアルティマと連携し、十分なサポートが提供できる体制が整ったため、日本進出に踏み切った」と語る。

tt130613WE004.jpgtt130613WE005.jpg 左は、ワイヤレス充電規格「Qi」に準拠し、産業機器、家電市場向けに展開するワイヤレス給電用コイル。右は、リニアテクノロジーとエナジーマイクロという半導体メーカー2社と連携して提供する環境発電向け開発キット (クリックで拡大)

 ウルト・エレクトロニク製品を扱うことになったアルティマも「リニアテクノロジーやIDTなどの評価ボードを販売する中で、評価ボードに標準部品として搭載されるウルト・エレクトロニクの受動部品を購入したいという声が多く、ようやく販売できる体制が整った。ウルト・エレクトロニクは、ワイヤレス充電規格『Qi』に対応した高出力のコイルや環境発電向け高効率トランスなど他社にない先端製品も多く、評価ボード採用品とともに先端製品から国内市場での提案を行っていく」としている。

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