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ザイリンクス、20nmプロセスFPGAをテープアウト――製品戦略反映し呼称も「8」ではなく「UltraScale」プログラマブルロジック(1/2 ページ)

ザイリンクスは、20nmプロセス技術を用いたFPGAのテープアウト(設計完了)を発表した。同時に、20nmプロセス採用FPGAなどに適用する新世代アーキテクチャ「UltraScale」の概要も公表した。新プロセス、新アーキテクチャを採用した製品の出荷は2013年10〜12月を予定している。

» 2013年07月09日 21時00分 公開
[竹本達哉,EE Times Japan]

 ザイリンクスは2013年7月9日、20nmプロセスを採用したFPGA製品のテープアウト(設計完了)を発表した。同社は、「20nmプロセスを用いた半導体デバイスのテープアウトは業界初。ハイエンドデバイスにおいては、最も近い競合より1年をはるかに超えて先行している」と主張している。

 テープアウトした20nm世代FPGAが、従来のザイリンクス製FPGAと大きく異なる点は、その名称に象徴されている。

 ザイリンクスは、これまでもFPGA製品に新たな半導体製造プロセスの導入する際に、FPGAの基本構造(=アーキテクチャ)を刷新してきた。そのため、新世代FPGAには、新プロセス、新アーキテクチャの両方を意味する製品名称が付けられてきた。具体的には、28nmプロセス世代FPGAには「7シリーズ」として各製品名に「7」を付記し、40〜45nm世代プロセスを採用したFPGAには、各製品名に「6」を含めるなど、数字で製品世代を表現した。

ザイリンクスの28nm/20nm/16nmプロセス世代における製品構成 (クリックで拡大) 出典:ザイリンクス

なぜ「8シリーズ」ではないのか?

 今回の20nmプロセス採用製品では、新プロセス、新アーキテクチャを導入するも、28nm世代の7シリーズに続く「8シリーズ」とはせず、UltraScaleとの名称を採用した。加えて、UltraScaleは、アーキテクチャに対する呼称であり、製品/アーキテクチャ名称とプロセス世代を分離させる新しいコンセプト採用した。

 この呼称の変更は、ザイリンクスにとって2つの製品戦略が反映されている。

28nm世代「7シリーズ」の新製品開発も継続

 1つは、今後、複数プロセス世代品を同時展開し、製品バリエーションをさらに多様化するという戦略。従来は新世代製品の投入とともに、前世代製品の新規製品開発を停止していたが、今回は、UltraScale採用20nm世代品とともに28nm世代の7シリーズの新規製品開発も継続する。さらに、2013年中にテストチップを作製し2014年の出荷を予定する16nm世代では、20nm世代品と同じUltraScaleアーキテクチャを採用することも決めている。2014年には、28nmから16nmの3つのプロセス世代からそれぞれ新製品が投入されるという体制になる見込みだ。

アーキテクチャ重視の姿勢

 もう1つは、プロセス技術以上に、アーキテクチャがFPGA/PLDデバイスの性能を左右する存在となり、ザイリンクスとしてアーキテクチャに注力しているという姿勢を明確に打ち出すためだ。

新世代製品について語るザイリンクス日本法人社長のサム・ローガン氏

 ザイリンクス日本法人社長のサム・ローガン氏は、「われわれは、28nm世代でFPGAにパラダイム変更をもたらした。FPGAを単にロジックを入れるデバイスとしてではなく、電源回路やCPUを搭載し、SoC(System on Chip)といえるようなデバイスにした。同時に、(シリコンインターポーザ上に複数のFPGAダイを実装した)『3DIC』を実現した他、旧来のSoC設計技術者でも容易に設計できるようC言語開発にも対応した開発環境『VIVADO』も投入するなどのパラダイム変更を起こした。今回のUltraScaleは、7シリーズに続くパラダイム変更を起こすもの。FPGAと呼ぶよりもSoCと呼ぶ方がふさわしいデバイスかもしれない」と語る。

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