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新社長が語る「TIが勝ち残れる理由」ビジネスニュース 企業動向

日本テキサス・インスツルメンツがプレス向けの説明会を開催。2013年4月1日に同社社長へ就任した田口倫彰氏が“Texas Instruments流ビジネス”の概要を語った。

» 2013年08月01日 19時36分 公開
[西坂真人,EE Times Japan]

 日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2013年8月1日、都内でプレス向けの説明会を開催。同年4月1日に同社の社長へ就任した田口倫彰氏が、同社のビジネス概要を語った。

 田口氏は1981年に同社へ入社。生産技術開発センター・マネージャ、ASP事業部品質保証部部長、アナログビジネス事業部長、マーケティング/応用技術統括部長を経て、2010年4月に同社オフィサー 営業・技術本部本部長に就任。そして今年4月に和田健治・前社長からバトンを受け継いでいる。


photo 日本テキサス・インスツルメンツ 社長の田口倫彰氏

 冒頭に田口氏は、2013年上半期の概要を注力分野別の売り上げ構成比で説明。堅調に推移した2013年上半期売り上げ59億米ドルのうち、アナログ分野が34億米ドル、組み込みプロセッシング分野が11億8000万米ドルと、同社が注力するこの2分野で売り上げ全体の8割弱を占めていることを提示。成長分野への事業戦略が順調であることを強調した。

 「2006年以降アナログと組み込みプロセッシングに注力、両分野を合計した売り上げ比率は2006年の40%から2013年上半期は78%になるなど、両分野の注力が確実に結果に表れている」(田口氏)


photo 2013年上半期の売り上げ概要

 設備投資にも積極的で、中国・四川省成都市の成都工場(2010年開設)に前工程および組み立て/テスト施設を建設することを2013年6月11日に発表した他、日本でも同年4月に後工程に関する研究開発拠点「日出パッケージ・センター」を大分県日出町に開設している。

 日本国内の半導体メーカーの苦戦が連日報道される中、堅調なビジネスを展開する同社の強みについて田口氏は「圧倒的な規模を誇る製品」「充実した営業・技術サービス」「先端のテクノロジーと安定供給を可能にする製造能力」の3つの基本戦略によるものと説明する。

 「幅広い多様な製品群や開発支援ツールが、汎用品/ASSP品(特定用途向け)として用意されている。昨年からはパッケージだけでなくベア・ダイでの供給も開始した。また、お客さまの近くに技術の分かるFAE(Field Application Engineer)がサービスできるよう拠点を充実させてきた。さらに1つのデバイスを2つ以上の工場で生産するマルチファブ化を推進するなど、BCPの観点からも生産拠点リスクを分散させ、安定供給を実践している。これら3つの戦略で、お客さまが市場で勝利できるよう、貢献していきたい」(田口氏)

photo 圧倒的な規模を誇る製品が、同社の堅調なビジネスを支える

TIが勝ち残れる理由

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 全世界で多拠点展開をしつつ、半導体メーカーとして安定した収益をあげる同社。早い段階でデジタルからアナログへかじを切った先見性もあるが、生産面での“勝ち残れる理由”は何なのだろうか。

 「ずいぶん前、TIはデジタル製品に注力していた時代があった。少品種大量生産をするデジタル製品に対して、アナログ製品は多品種少量生産。(生産現場の改革はもとより)われわれ自身、マインドセットも含めて大きく変更を行ってきた。例えば、デジタルの時代は、(生産現場で)1日に流す品種数は5〜10個程度でレシピ(製造手順)を変更するアイドリングタイムも少ない。一方アナログは、製品から製品への切り替えも多くなりアイドリングタイムも多くなる。それが現在ではトータルのアイドリングタイムはデジタル時代とほとんど同じになった。生産効率を上げるという取り組みは全世界で行われているが、(福島県会津若松市の)会津工場をはじめとする日本は特に進んでおり、それを全世界にフィードバックしている。今後は、(市場が)特に伸びると思われる車載向けと産業機器分野へ、これまで以上に注力していく」(田口氏)

photo 同社DLP技術を応用した車載表示システム。リアプロジェクションシステムを採用し裏側から投写するため、曲面の多いデザインの自動車コンソールでもさまざまな情報が表示できる

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