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» 2013年08月27日 15時55分 UPDATE

無線通信技術:テレビで使っていない周波数を拝借して通信するタブレット端末

情報通信研究機構は、テレビ放送帯の空き周波数「ホワイトスペース」で、通信可能な携帯型Android搭載タブレット端末を開発した。NICTでは、「タブレット端末によるテレビ帯ホワイトスペースの利用が可能になれば、周波数資源の有効利用が期待できる」とする。

[EE Times Japan]
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 情報通信研究機構(以下、NICT)は2013年8月27日、テレビ放送帯の空き周波数「ホワイトスペース」で、通信可能な携帯型Android搭載タブレット端末を開発したと発表した。NICTでは、「タブレット端末によるテレビ帯ホワイトスペースの利用が可能になれば、周波数資源の有効利用が期待できる」とする。

各国で運用の検討が進む「ホワイトスペース」

 テレビ帯ホワイトスペースとは、テレビ放送などの目的に割り当てられているものの、地理的条件や時間的条件によって、テレビ放送など本来の目的以外に利用可能な周波数帯のこと。スマートフォンやタブレット端末の普及で通信量が増大する中、ホワイトスペースを無線通信に利用することが検討され、米国や英国などでは制度設計が始まっているとされる。またホワイトスペースを利用した新たな無線LANの国際標準「IEEE802.11af」の策定なども進んでいる。

これまでは小型化が困難だった

 ただ、ホワイトスペースの周波数帯は、470〜710MHzであり、従来の無線LANで使用される2.4GHz帯などよりも低く、かつ帯域が広いため、タブレット端末など携帯機器でホワイトスペースを活用した通信に対応する場合、部品の小型化が課題となっていた。同時にテレビ放送への干渉を回避する技術を実装する必要があり、携帯機器へのホワイトスペース通信機能の実装は、困難だった。

tt130827NICT01.jpg 開発したタブレット端末(左)と据え置き型のホワイトスペース無線LAN基地局 出典:情報通信研究機構

 NICTは今回、テレビ帯ホワイトスペースで動作させることのできる周波数変換装置を開発し、市販のタブレット型端末に実装した。開発した端末は、ホワイトスペースとともに、2.4GHz帯での通信が可能。ホワイトスペースでは、以前にNICTが開発したIEEE802.11af暫定規格に準拠したホワイトスペース無線LAN基地局を介してインターネットへアクセスできるという。さらに、ホワイトスペースデータベース*)にアクセスすることで、テレビ放送に干渉を与えないと想定される周波数での運用が行えるとする。

*)ホワイトスペースとして二次利用(テレビ放送以外での利用)者が利用可能な周波数を、一次利用(テレビ放送としての利用)者の情報(送信所の場所、周波数、時間、送信電力など)や地形情報などを考慮し、一定の計算基準に基づいて選択して、その結果を二次利用者からの問い合わせに対して返答する装置や機能のこと

tt130827NICT02.jpg 開発したタブレット端末の内部構成 出典:情報通信研究機構

2.4GHz帯でも通信可能

 2.4GHz帯では、従来の無線LAN「IEEE802.11b/g」による通信に対応する。NICTでは、「ネットワークマネージャからの制御により、トラフィック量や干渉量に応じて自動的に通信周波数帯を切り替えることもできる」という。

 その他、開発した端末には、ホワイトスペースデータベースから一次利用(テレビ放送としての利用)者の情報を取得し、テレビ放送帯の各チャンネルのホワイトスペースの状況と端末の現在地を同時に地図上に表示する機能や、場所や時間によるホワイトスペースの状況によって、端末からの出力レベルを制限する出力レベル調整機能も実装されている。

まだ課題が多いホワイトスペースでの移動通信

 NICTでは、「ホワイトスペースにおける移動通信の利用には課題が多く、実運用の実現に向けては、テレビ放送への干渉を確実に回避するためのホワイトスペース判定方法の策定が必要。今後、この端末を用いて伝搬特性評価などを行い、技術基準、制度設計に資する情報を提供していく予定。テレビ帯ホワイトスペース利用の通信規格の標準化活動に引き続き貢献するとともに、今回開発した端末の要素技術などを応用し、これらの通信規格に準拠した小型携帯端末の開発も同時並行で進めていく」としている。

tt130827NICT03.jpg 開発したタブレット端末をホワイトスペースで運用する場合のネットワーク構成例 出典:情報通信研究機構

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