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» 2013年08月29日 17時50分 UPDATE

オーディオ処理技術 スピーカー:厚さ1mmのピエゾスピーカ、LGの55インチ曲面型有機ELテレビに搭載

LGエレクトロニクスの55インチ曲面型有機ELテレビにおいて、中高音域の“音づくり”に貢献しているのが、京セラのピエゾフィルムスピーカだ。わずか1mmの薄さながら、音の指向性の面では従来の電磁式スピーカよりも優れているという。

[村尾麻悠子,EE Times Japan]
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 LGエレクトロニクスが2013年5月から韓国で発売している55インチの曲面型有機ELテレビ。ディスプレイの厚さが数mmという薄型の有機ELテレビにおいて、同社が試行錯誤した点の1つが、「音作り」だったという。

 同社の日本法人LG Electronics Japanの代表取締役である尾上 善憲氏は、「曲面のディスプレイを持つテレビで、どうやって高い音質を出せばいいのかが課題だった」と述べる。その答えとなったのが、京セラが独自に開発した「ピエゾフィルムスピーカ」だ。

厚さ1mmで、広い指向性を実現

 ピエゾフィルムスピーカは、その名の通りピエゾ(圧電)素子を利用したものである。ファインセラミックスで製造したピエゾ素子を樹脂フィルムでコーティングし、フレームと配線用の端子を取り付けたものだ。マグネットやコイル、振動板で構成される従来の電磁式スピーカに比べて、大幅に小型化/薄型化できるのが特徴である。

 京セラは、用途に合わせて、小型/中型/大型の3種類のピエゾフィルムスピーカをラインアップした。小型はスマートフォンやタブレット端末、中型はテレビなどの家電、大型は車載スピーカなどの用途を想定している。それぞれのサイズや再生周波数帯域を以下の表に示す。

  大型 中型 小型
サイズ 70×110×1.5mm 35×65×1.0mm 19.6×27.5×0.7mm
重さ 23g 7g 1g
再生周波数帯域 200Hz〜20kHz 500Hz〜20kHz 800Hz〜20kHz
mm130829_kyocera_fig00.jpgmm130829_kyocera_fig01.jpg 「ピエゾフィルムスピーカ」のサイズは3種類。厚さは約1mmと非常に薄い。手にしているのは中型のピエゾフィルムスピーカである(クリックで拡大)
mm130829_kyocera_fig1.jpgmm130829_kyocera_fig2.jpg ピエゾフィルムスピーカの構造と仕組み(左)。右は、従来の電磁式スピーカとの比較である。大幅な薄型化/小型化が可能だ(クリックで拡大)

 ピエゾフィルムスピーカは、ピエゾ素子と樹脂フィルムの表面全体が細かく振動するように作り込んでいるので、広範囲に音を均一に伝えることが可能だという。すなわち、音の指向性が広くなっているので、よりクリアな中高音域を再現できる。ただし、ピエゾ素子を用いたスピーカは、材料の特性上、低音域の音圧は弱いとされている。ウーファーを取り付けて低音域の音圧を補うといった方法があるが、京セラは、「今後は低音域の音圧の改善に向けて開発を進める」としている。

mm130829_kyocera_fig3.jpgmm130829_kyocera_fig4.jpg ピエゾフィルムスピーカは、全面が細かく振動するので広い指向性を実現しているという(左)。右は、音圧の指向性評価。赤い線がピエゾフィルムスピーカの評価結果だが、より均一に音が広がっているのが分かる(クリックで拡大)

 ピエゾフィルムスピーカは拡販を開始したばかりだが、京セラによると、5年後には100億円の事業規模を目指すという。量産は2013年4月末より、同社の鹿児島国分工場(鹿児島県霧島市)で既に開始している。

55インチ有機ELテレビに搭載

 LGエレクトロニクスは、京セラのピエゾフィルムスピーカを採用し、サイズやフレームの部分をカスタマイズしたスピーカ「Clear Speaker」を開発、55インチ曲面型有機ELテレビに搭載した。Clear Speakerの厚みは2mmで、厚さ4.5mmの有機ELテレビにも十分に収まる。

mm130829_kyocera_fig5.jpgmm130829_kyocera_fig6.jpgmm130829_kyocera_fig6a.jpg LGエレクトロニクスの55インチ曲面型有機ELテレビ。両端の下部に「Clear Speaker」を2個搭載している(クリックで拡大)

 Clear Speakerを搭載したことで、LGエレクトロニクスの既存のテレビに比べて、中高音域の音圧が改善した。なお、55インチ曲面型有機ELテレビは、2台のClear Speakerの他、一般的な内蔵スピーカも背面に搭載している。内蔵スピーカとClear Speakerの両方を搭載することで、低音域から高音域において高い音質を実現するとともに、広い指向性も確保したという。

mm130829_kyocera_fig7.jpg グラフは横軸が周波数で縦軸が音圧。赤い線が、Clear Speakerを搭載した場合である。Clear Speakerの搭載で、内蔵スピーカだけを用いた場合に比べて中高音域の音圧が改善した(クリックで拡大)

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