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» 2013年09月04日 11時18分 UPDATE

ビジネスニュース 業界動向:自動運転車や農林ロボットにみる「世界のロボット事情と日本の現状」 (1/2)

米国電気電子学会(IEEE)は「世界のロボット事情と日本の現状」と題するプレスセミナーを開催した。IEEEフェローで東北大学大学院教授の小菅一弘氏、IEEEフェローで早稲田大学理工学術院教授の菅野重樹氏および、早稲田大学理工学術院准教授(主任研究員)の白井裕子氏らが、世界に目を向けた研究開発の重要性や、農林業向けロボット開発の現状などについて説明した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]
伐倒ポータブルマニピュレータ「巽」

 米国電気電子学会(以下、IEEE)は2013年9月2日、「世界のロボット事情と日本の現状」と題するプレスセミナーを東京都内で開催した。IEEEフェローで東北大学大学院教授の小菅一弘氏(IEEE Robotics and Automation Society前会長)、IEEEフェローで早稲田大学理工学術院教授の菅野重樹氏(IROS2013実行委員長)および、早稲田大学理工学術院准教授(主任研究員)の白井裕子氏らが、世界に目を向けた研究開発の重要性や、農林業向けロボット開発の現状などについて説明した。

 特に、日本のロボット開発における今後の重要なポイントとして小菅氏は、「リアリティのあるシナリオを作って研究に取り組むことが重要」と述べた。また、菅野氏も、「要素技術の開発も重要だが、日本のロボット研究は使用される現場と結びついた開発を行うことで、製品の強みを打ち出していく必要がある」と語った。今回の「農林業向けロボットの開発」はその1つと位置付けている。

「市場の動きをグローバルな視点でとらえろ」

tm_130904ieee02.jpg IEEEフェローで東北大学大学院教授の小菅一弘氏(IEEE Robotics and Automation Society前会長)

 最初に登壇した小菅氏は、自動運転車(Self-driving Car)の実用化に向けた世界的な取り組み事例を紹介し、「科学・技術をグローバルな視点から見ることによって、世界のトレンドの見方が変わる」と強調した。

 自動運転車の実用化は、ここ数年世界中で注目されているテーマの1つである。日産自動車は、2020年までに自動運転技術を搭載した車両を発売すると、2013年8月に米国カリフォルニアで開催した自社イベントで発表した(関連記事)。しかし、今のところ日本では自動運転車の公道走行が許可されていないため、日産は2015年までに、実際の市街地と同様の街並みを再現した自動運転車専用のテストコースを日本国内に建設して、自動運転車の開発を加速させる予定である。

自動運転車「日本、要素技術先行で法整備遅れる」

 ここで、小菅氏が指摘したのが自動運転車の実用化に向けた世界の動きである。実用化に向けては、自動車自体の要素技術を開発していくこともさることながら、公道を走行するために必要な技術課題の抽出や、自動運転に関連する法的整備が必要となる。日本では自動車本体の要素技術開発が先行している感が強く、法的整備が後回しになるケースも見受けられる。そのために、社会インフラとの適合など、実用化に向けた試験やデータ収集が遅れることもある。

 こうした中で小菅氏は、米国などで先行している公道での試験走行の事例を紹介した。例えば、「YouTube」で話題となった「Google Car」の開発は、法的整備が整う以前から実際の路上を使ってテスト走行などが行われていた、と指摘する。さらに、米国ネバダ州では2012年5月に自動運転車に対して公道を走行するための許可が与えられていた。同様に、フロリダ州では2012年1月、公道において自動運転車の走行実験が認められた。2013年には英国政府も公道で自動運転車のテスト走行を認めた、ことなどを挙げた。これらの動きは技術者同士の交流から得られた情報だという。

 小菅氏は、「自動運転車の開発は各国が競って行っており、この分野で世界のリーダーとなるために、米国のいくつかの州や英国政府は既に公道におけるテスト走行を認めている。ところが、日本国内にいると世界各国が取り組んでいる自動運転車の実用化に向けた法的整備の状況など、重要な情報がほとんど伝わってこない」と前置きし、「もっと世界に目を向け、技術者との交流を大切にして、世界中から最新の情報を得ることが日本の科学・技術の発展には必要なことではないだろうか」と語った。

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