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» 2013年10月29日 10時10分 UPDATE

センシング技術:シャープ、宙に描いた文字も認識できる小型3Dモーションセンサーを開発

シャープは、空中の指や物体を3次元座標で検知する1パッケージ型の小型3Dモーションセンサー「GP2Y8E01」を発売した。タッチパネル同様の操作感のある非接触型のユーザーインタフェースをタブレットPCやノートPCなど電池駆動機器でも実現できる。

[竹本達哉,EE Times Japan]
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 シャープは2013年10月28日、空中の指や物体を3次元座標で検知する1パッケージ型の小型3Dモーションセンサー「GP2Y8E01」を発売した。タッチパネルに似た操作感の非接触型ユーザーインタフェースをタブレットPCやノートPCなど電池駆動機器でも実現できる。2013年10月31日からサンプル出荷を開始し、2014年3月から量産を行う予定。サンプル価格は1100円となっている。

 非接触で指などの動きを検出するジェスチャーセンサーは、既に市販されているスマートフォンに搭載されるなど徐々に一般化してきている。ただ、スマホなどに搭載される従来のジェスチャーセンサーは、「右から左へ」「上から下へ」というような、指などの“動き”を検出することは可能だが、指が“どの位置にあるか”は検知できなかった。

 位置を検出できるジェスチャーセンサーとしては、カメラと画像認識技術を使ったセンサーシステムが存在するが、タブレット端末やノートPCに内蔵するにはシステム規模が大きい上、システムコストも数千円から数万円もかかり、現実的ではなかった。

tt131029S001.jpg 新製品の位置付けとターゲット市場のイメージ (クリックで拡大) 出典:シャープ

タブレットに搭載可能なサイズ、消費電力、コストで実現

 今回、シャープが開発した3Dモーションセンサーは、スマホなどに搭載されるジェスチャーセンサーと画像認識技術応用型のジェスチャーセンサーシステムの間の性能を、スマホよりも筐体のサイズが大きいタブレット端末やノートPCなどのモバイル機器にも内蔵できるサイズ、コストを実現する新コンセプトのセンサーとして開発した。

 3Dモーションセンサーの仕組みは、スマホ向けジェスチャーセンサーとほぼ同様で、発光素子で赤外光を発し、指など検知したい物体から跳ね返ってくる反射光を受光素子で受け、検知するというものだ。ただ、スマホ向けジェスチャーセンサーと受光素子の形状が異なる点が大きな違いだ。

tt131029S002.jpgtt131029S003.jpg 3Dモーションセンサーの検知の仕組み (クリックで拡大) 出典:シャープ

30×30画素のイメージセンサーで文字認識も可能

 シャープがスマホ向けに展開しているジェスチャーセンサーの受光素子は4つの領域に分割されたフォトダイオードを使用し、各領域の光の受光具合の変化から指などの“動き”を割り出した。

 一方、開発したセンサーは、受光素子に30×30画素のCMOSイメージセンサーを採用し、30×30のマス目を持つ座標で、指などの“位置”を検出できるようにした。さらに、光を受光する画素の数や光量の大きさから、センサーと検知物の距離変化も一定の分解能で検出でき、ボタンを押すようにセンサーに指を近づけたことなどを検出することもできる。従来のフォトダイオードを使うジェスチャーセンサーは、2次元的な動きの検出にとどまったが、開発したセンサーは距離方向の位置も検出できるため、シャープでは「ジェスチャーセンサーではなく、3Dモーションセンサーと呼ぶことにした」とする。

tt131029S004.jpgtt131029S005.jpg 新製品を使った動作デモの様子。デモでは、センサーと指の距離が近いほどオレンジの円が大きくなるグラフィックユーザーインタフェースで、3次元座標検知の様子を表現している (クリックで拡大)

 CMOSイメージセンサーの画素数を30×30画素にした理由として同社は、「画素を増やすことでより高精度な位置検出が可能となるが、消費電力増、コスト高となる。タブレット端末に内蔵した場合に求めるであろう精度を、消費電力、コストを抑えつつ実現できる画素数として30×30画素にした」と説明。「30×30画素のイメージセンサーでも、アルファベット程度の文字認識であれば十分に行える」としている。

tt131029S006.jpg 新製品の応用イメージ (クリックで拡大) 出典:シャープ

パッケージ内にDSPも搭載

tt131029S007.jpg 新製品の3Dモーションセンサー「GP2Y8E01」

 検知距離は5〜20cmで、「従来のスマホ向けジェスチャーセンサーよりも10cm程度、遠い距離まで対応した」とする。さらに、新製品は、受光センサーの検知情報を座標データに変換する座標計算処理回路も同一パッケージに搭載し、ホスト側プロセッサに負荷をかけることなくI2Cで座標データを出力できる。DSPは、1秒間に120回の検知、座標計算処理が行える能力を持つ。

 デバイスサイズは、「スマホへの搭載は難しいが、タブレット端末に十分搭載可能なサイズ」という7.9×3.9×3.4mm。電源電圧は2.8〜3.6Vで消費電流は3.3mA(典型値)となっている。シャープでは、タブレット端末、ノートPCの他、アミューズメント機器やFA機器などでの採用を見込む。

将来は“マルチタッチ”にも対応できる

 今回の新製品は、1つの物体のみの検知にとどまるが、「近い将来には、タッチパネルのマルチタッチのような操作感を実現する2つの物体検知に対応した製品も投入したい」としている。

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