インタビュー
» 2013年10月29日 15時30分 UPDATE

リニアテクノロジー CTO ロバート ドブキン氏:競合が作れるようなものは、開発しない (1/2)

リニアテクノロジーの最高技術責任者(CTO)であるロバート ドブキン氏がこのほど来日し、EE Times Japanのインタビューに応じた。極めて技術志向の強い同社の技術部門トップであるドブキン氏に、リニアテクノロジーの技術開発方針などについて聞いた。

[竹本達哉,EE Times Japan]
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 リニアテクノロジーは、半導体業界の中でも高い収益性を誇るメーカーとして広く知られている。その高い収益性の源泉は、高い技術力にある。先日、来日した創業者で会長を務めるロバート H.スワンソン氏も、「優秀なエンジニアの力が、リニアテクノロジーの最大の競争力だ」と言い切る(関連記事:優秀な技術者がいるから「競合には追い付かれない」)。

 そのリニアテクノロジーの技術部門を1981年の創立以来、統括する最高技術責任者(CTO)のロバート ドブキン氏に、リニアテクノロジーの技術部門の現状や今後の技術開発戦略などについて聞いた。


顧客要望に応え、自らも新製品アイデアを発案

EE Times Japan(以下、EETJ) CTOとして日々、どのような業務を行われていますか。

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ドブキン氏 リニアテクノロジー全体の技術開発、製品開発が直面する技術的な課題に助言を与えることが主な業務であり、とても多忙だ。

EETJ その業務の中でも、重点を置かれていることは何でしょうか。

ドブキン氏 既存製品の改良よりも、新しい技術領域での製品/技術開発に重点を置いている。新領域の開発では、これまで30年以上の経験では遭遇したことのない課題にぶつかることが多く、それらの課題に対し、個別に助言を与えることが重要だ。

EETJ 現在進めている新領域での開発プロジェクトはどれくらいの数がありますか。

ドブキン氏 現在、開発プロジェクトとしては200件以上が進んでいるが、そのうち、挑戦的な新領域のプロジェクトは30〜40件以上だろう。私の頭の中にも10個程、挑戦的な開発コンセプトがある。

EETJ 自らアイデアを出され、開発を行われることもあるのですか。

ドブキン氏 自らプロジェクトを行うことはなく、私が考えたコンセプトは、バイスプレジデントらに伝えて、実行する。もちろん、実際に開発するかどうか、適切な経営判断を仰いだ上での話だが。

EETJ ドブキン氏の発案で、現在着手されている開発プロジェクトはどのようなものがありますか。

ドブキン氏 開発中の案件は教えられないが、直近に製品化された案件であれば、フィードバック回路の基準に、定電圧源ではなく定電流源を用いたリニア・レギュレータがある。LT3080、LT3081といった製品に搭載されている技術だ*)

*)レギュレータは従来、エラーを訂正する基準に定電圧源を使用したが、定電流源を用いることで、抵抗1本で出力電圧を設定できる(従来は2本)他、出力電圧を0Vから設定できる(従来は基準電圧以上に限定された)などの利点が生じる。

顧客からの要望は、「大変ありがたいこと」

EETJ そういったアイデアはどのような時に生まれるものですか。

ドブキン氏 ほとんどの場合は、顧客との対話の中から生まれる。顧客からの要望に応える形で、新たなアイデアを考え出す。

EETJ 日本の顧客との対話の機会もありますか。

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ドブキン氏 今回の来日では、顧客と会う機会はなかったが、いつもであれば、顧客と会う機会を持っている。日本の自動車メーカーなどからは、品質に対する極めて高いレベルの要求を頂く。このことは、われわれにとって大変ありがたいことだと思う。

EETJ 日本企業の品質に対する考えは、世界的にも高く、一部では過剰品質とも非難されますが。

ドブキン氏 顧客が1ppmの品質を求めるのであれば、それに応えることが顧客にとっての幸せだ。われわれは顧客の要望に応える。

EETJ 顧客側からは、品質、性能とともに低コスト化要求も強いと思いますが、コスト面での対応はどのようにお考えですか。

ドブキン氏 われわれは30年間にわたり、生産中止を行わず供給を続けている。そのため、その製品の価格を毎年のように下げることは不可能だ。また、生産中止を行わないことと同様に、コストダウンを狙って、採用プロセスを変更することもしていない。プロセスを改版して製品価格を下げても、顧客には、それ以上の負担を強いることにもなるためだ。

最も安いメーカーという位置に全く興味がない

EETJ リニアテクノロジーの製品は、競合のアナログ半導体メーカーと比較して、価格が高いというイメージがあるようですが。

ドブキン氏 われわれは、最も価格の安いメーカーという位置に全く興味がない。そして、われわれは、競合他社が作れるようなものは、開発しない。

 その上で、われわれの製品には、アプリケーションサービスやクオリティーサービスなども含まれており、十分に価格に見合う製品となっている。われわれの製品が、顧客の基板に搭載されていることが、その証だ。

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