インタビュー
» 2014年02月17日 10時00分 UPDATE

NVIDIA ADAS and Auto Partner Program シニアマネジャー Geoff Ballew氏:Androidと自動車の橋渡しを、NVIDIAがOAAで果たす役割 (1/2)

2014年1月、自動車へのAndroidプラットフォームの統合を目指す業界団体「Open Automotive Alliance(OAA)」が発足した。OAAで唯一のプロセッサベンダーとして参加しているのがNVIDIAだ。同社のオートモーティブ関連事業でシニアマネジャーを務めるGeoff Ballew氏に、OAAでの活動や、1月に発表したばかりの最新モバイルプロセッサ「Tegra K1」について話を聞いた。

[村尾麻悠子,EE Times Japan]

 スマートフォンと自動車をつなげるシステムを開発する取り組みが加速している。Appleが2013年6月に発表した「iOS 7」に搭載された新機能「iOS in the Car」は、自動車と「iPhone」を連携させる技術として、大きな注目を集めている。

 一方で、Android陣営にも大きな動きがあった。それが2014年1月6日に発足したOAA(Open Automotive Alliance)だ。そのOAAに、唯一のプロセッサベンダーとして参加しているのがNVIDIAである。

 PC、ゲーム機向けのGPUでよく知られている同社だが、以前から自動車分野にも注力していて、同社のプロセッサを搭載した自動車は450万台に達している。また、2014年1月に開催された「2014 International CES」では、先進運転支援(ADAS)や自動運転システム向けのモバイルプロセッサ「Tegra K1」を発表した。PC向けのGPUと同じ「Kepler」アーキテクチャを採用したGPUコアを192個搭載した、強力な演算性能を持つプロセッサだ。NVIDIAのADAS and Auto Partner Programでシニアマネジャーを務めるGeoff Ballew氏に、OAAでの活動やTegra K1について話を聞いた。

OAAで唯一のプロセッサベンダー

mm140214_int_nvidia1.jpg Geoff Ballew氏 NVIDIAでオートモーティブ関連事業を率いる。半導体業界に20年以上携わっていて、NVIDIAでは1998年の入社以来、PC向けGPU「GeForce」や「Tesla」の開発を手掛けてきた

EE Times Japan(以下、EETJ) まずはOAAが目指すものと、NVIDIAの役割について教えてください。Androidと自動車は、どのようにつながっていくのでしょうか。

Ballew氏 OAAはGoogleが1月に発表した団体で、Androidと自動車の連携を目指すものです。現在参加している自動車メーカーは、Audi(アウディ)、GM(General Motors)、ホンダ、現代自動車の4つで、プロセッサメーカーは当社だけです。

 Androidと自動車の連携は、二通りになると考えられます。1つは、Android端末をセンターコンソールにつなげる方法。もう1つは、センターコンソールそのものをAndroid端末のように見なし、アプリなどをダウンロードできるようにすることです。後者であれば、自分のスマートフォンをクルマに持ち込まなくても済みますし、持っている端末やOSの種類にかかわらず、そのクルマに乗っている全員が同じユーザー体験を得られます。

 当社は、Androidスマートフォンやタブレットにプロセッサを提供していて、Googleとは深い関わりを持っています。自動車メーカーやティア1と協力して車載情報システム向けにもプロセッサを提供してきました。OAAは、Androidと自動車の連携に特化しているので、こうした実績を持つNVIDIAは、Androidと自動車をスムーズにつなぐ仕組みの構築に貢献できると考えています。その上で大きな鍵を握るのが、プロセッサ「Tegra」です。

「Kepler」採用の利点

EETJ 「2014 International CES」では、Tegra K1が注目を集めていました。

Ballew氏 Tegra K1は、KeplerアーキテクチャをGPUコアに採用した最新のモバイルプロセッサです。CESでは、アウディが自動運転システムにTegra K1を採用すると発表しました。ここでいう自動運転というのは、クルマがハンドルを操作したり、クルマ自身がパーキングしたりするといったことですね。

EETJ Tegra K1がKeplerを採用したことで、どのような利点が生まれるのでしょうか。

Ballew氏 Keplerを採用したことで、スマートフォンからタブレット端末、PC、自動車まで1つのアーキテクチャで対応できるようになったことが最大の利点です。開発環境の「CUDA」に対応した初めてのTegraシリーズでもあるので、モバイル機器から自動車までシームレスな開発環境を構築することができます。

mm140214_int_nvidia4.jpg Tesla Motors「モデル S」のセンターコンソール(「2012 International CES」にて撮影)

 多くの場合、スマートフォン市場向け、タブレット端末市場向け、自動車市場向けといったように市場を分けて考えがちですが、Keplerをコアに採用したTegra K1は、そうした概念を変えます。各市場向けに同じアーキテクチャを使えることから、スマートフォンと自動車など、市場と市場を結び付ける役割も果たすのです。

 例えば、Tesla Motorsの「モデル S」のセンターコンソールには、17インチのタッチスクリーンディスプレイ*1)が搭載されています。これは、17インチのタブレット端末がクルマに組み込まれているのと同じようなものですよね。ですから当社は、自動車向けにプロセッサを売ることと、スマートフォンやタブレット端末向けにプロセッサを売ることは、密接に結び付いていると考えています。音楽を聞いたり、ビデオを見たり、ナビゲーション機能を起動したり……といったように、ユーザーが求めるものは、スマートフォンでも自動車でも同じなのです。

 今、特に若い世代の消費者は、カーラジオでは満足できなくなっています。普及価格帯のクルマにさえ、携帯電話機と同じような機能を求めています。自動車メーカーは、自動車のユーザーインタフェースやユーザー体験を、スマートフォンのような民生機器に近いものにしていく必要に迫られているのです。ここで、スマートフォンやタブレット端末から自動車まで同じコアで対応できるKeplerが生きてくると考えています。また、同じコアを使えるのでソフトウェア資産を再利用できることになり、市場投入への時間(Time to Market)も短くなります。

mm140214_int_nvidia3.jpg カスタマイズ可能なデジタル計器クラスタ(クリックで拡大)

 さらに、強力なKeplerアーキテクチャを採用しているので、Tegra K1は、ゲーム機と同じレベルのグラフィックスをクルマにも搭載できるようになります。美しいセンターコンソールや高品質な3Dの地図はもちろん、本物の木や金属といった材質を使ったように見えるデジタル計器クラスタを実現できます。デジタル計器クラスタをカスタマイズできるようになるので、自動車メーカーにとっては差異化を図るキーになるはずです。

*1)車載ディスプレイには、プロセッサ「Tegra 3」が採用されている。

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