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モバイル端末のセキュリティに警鐘、Androidマルウェアは増加の一途ビジネスニュース(1/2 ページ)

スマートフォンやタブレット端末のウイルス感染に関する懸念が高まっている。特にAndroid端末は、セキュリティがぜい弱だと以前から指摘されていて、巧妙化するウイルスへの対策が急がれる。

» 2014年02月18日 11時56分 公開
[Junko Yoshida,EE Times]

 中国が国産OS「COS」を立ち上げざるを得なかったは、Androidスマートフォンの安全性を懸念したせいだとすれば、Alcatel-Lucentのマルウェアに関する最新リポートは、そのような懸念を裏付けたかもしれない。

 Alcatel-Lucentのセキュリティチームが取りまとめた「Malware Report」は、世界中で1160万台以上のモバイル機器がマルウェアに感染していて、そのうち60%がAndroidスマートフォンであると伝えている。ちなみに、残りの40%のうちほとんどは、USBドングルやモバイルWi-Fiルータ、あるいは携帯電話機を介してモバイルネットワークにつながれたWindows PCだ。マルウェアに感染した機器のうち、「iPhone」や「BlackBerry」、「Windows Phone」搭載端末などが占める割合は1%に満たないという。

マルウェアに感染したAndroid端末(赤)とWindows PC(青)の割合 出典:Kindsight Security Labs

 リポートでは、なぜAndroidがマルウェアの標的となっているのかを説明している他、Androidマルウェアの特性がどのように変化しているのか、今後の傾向などを分析している。

 Alcatel-Lucentのスピンオフとして設立され、現在はAlcatel-Lucentの傘下となっているKindsight Security Labsは毎月、モバイル端末のマルウェアの感染率をモニタリングしている。感染率は2014年初めは0.45%だったが、現在は0.55%に上昇しているという。

 Kindsight Security Labsによると、この感染率を、現在使用されているスマートフォンの台数である21億台(国際電気通信連合による推定値)に当てはめると、1160万台のモバイル機器が常にマルウェアに感染していることになるという。同社は、実際の数はこれよりもはるかに多いと推測している。

Androidマルウェアは、2013年の1年間で約20倍に増加している 出典:Kindsight Security Labs

 Kindsight Security Labsは、モバイル機器のマルウェア感染を引き起こす主な要因として、“トロイの木馬”のようなアプリを挙げた。Windows PCの世界では、サイバー犯罪者はアンチウイルスソフトウェアを回避するために、何千もの変異型を作らなくてはならない。反対に、ほとんどのAndroidマルウェアは、それほど巧妙に変異しているわけではなく、どちらかと言えば原始的なタイプだ。だが、感染が広まるスピードが非常に速いという。Kindsight Security Labsのディレクタで、セキュリティアーキテクトでもあるKevin McNamee氏は、「われわれがよく発見するのは、数百の異なる壁紙アプリと見せかけて、同じタイプのマルウェアをばらまくサードパーティのアプリストアだ。壁紙アプリを増やせば増やすほど、感染先も増える」と述べている。

 こうした原始的な方法であるにもかかわらず、Androidマルウェアによる被害は深刻になり得る。Alcatel-Lucentのリポートでは、認証情報を狙うもの、SMS(Short Message Service)メッセージをプレミアムレートの番号に送るものといった実例を紹介している。同リポートは、「2013年は、Windows PCが感染するマルウェアのような、巧妙なAndroidマルウェアが増えた」と警告している。

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