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» 2014年02月28日 10時35分 UPDATE

MWC 2014:サムスンの新スマートウオッチ、OSはTizen

「Mobile World Congress」で新しいウェアラブル機器を発表したサムスン電子。同社はOSにAndroidではなくTizenを選んだ。これを「正しい選択」とみるアナリストもいる。

[Jessica Lipsky,EE Times]

 Samsung Electronicsは、同社の最新ウェアラブル機器のOSにAndroidを採用しないことを選択した。今後、スマートウオッチやフィットネス用リストバンドなどの分野にその影響が及ぶとみられる。

 Samsungは、「Mobile World Congress(MWC 2014)」(スペイン バルセロナ、2014年2月24〜27日)において、同社の新型ウェアラブル機器として、スマートウオッチ「Gear」と「Gear Neo」、フィットネス用リストバンド「Gear Fit」の3機種を発表した。同社が以前に発表していた旧モデルのスマートウオッチ「GALAXY Gear」は、Android OSを搭載していたが、今回の新製品のOSはAndroidではない。Gear FitはリアルタイムOS(RTOS)を、GearとGear NeoはTizenを、それぞれ採用しているという。Tizenは、SamsungとIntelが中心となって開発を進めてきたLinuxベースのOSで、Androidの置き換えを狙って2011年に投入されたものだ。

mm140228_samsung.jpg 「Mobile World Congress」で発表されたSamsung Electronicsの新スマートウオッチ 出典:Samsung

 米国の市場調査会社であるGartnerでバイスプレジデントを務めるMartin Reynolds氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「Samsungは以前から、Tizenを搭載したスマートフォンを販売するのではないかと報じられていた。もしそうであれば、市場に大きな影響を及ぼすことになる。スマートフォン市場におけるSamsungの地位は非常に大きいので、あえてそこまでのリスクを冒す必要はないと考えたのだろう。Tizenの投入先としてウェアラブル市場を選択したことは、非常に理にかなっている。Samsungにとっては、Tizenを小型機器向けに最適化するだけで済むためだ」と述べている(関連記事:いずれはAndroidを切り離す? SamsungはTizen搭載スマホを2013年中に発売か)。

 Tizenは、Androidと同様にLinuxをベースとしているが、電池寿命が長いなどのメリットを持ち、さらなる簡素化を実現している。また、ウェアラブル機器は通常、さまざまな機能を備えているため、いくつもの複雑なアプリケーションをOSで管理する必要がない。Reynolds氏は、「Samsungは、Gear用のソフトウェア開発キット(SDK)を公開する予定だ。そのため、Tizen向けソフトウェアの開発はそれほど難しいことではないだろう」と指摘する。

 Samsungは、RTOSの開発キットは提供しないようだ。ただ、RTOSは極めてベーシックなOSであるため、アプリケーションエコシステムを構築するまでもない。一方でCNETの報道によると、SamsungはGear Fit向けアプリに関しては、自社でカスタマイズしたり、開発メーカーと共同でリリースしなければならないようだ。

 米国の市場調査会社であるEnvisioneering Groupでディレクタを務めるRichard Doherty氏は、「Samsungは最良の選択をしたといえるだろう。いずれは、AndroidアプリからTizenやRTOSのアプリへの移行が進むかもしれない。Samsungは、同社の端末向けOSの動向をサードパーティの開発メーカーに委ねた形となる」と述べる。「今後は、Samsungの端末向けにAndroid、RTOS、Tizenのコード変換ツールが増えていくとみている」(同氏)。新しいOSが成功するかどうかは、そのOS向けのアプリの開発にどれだけの時間が費やされるかによって左右される。Samsungの新製品がけん引役となって、他のウェアラブル機器でもRTOSやTizenの採用が進む可能性もある。

 Doherty氏は、「今後数カ月間で、リソースが大きく移行する可能性がある。開発メーカーの中には、現在Androidによって得ている以上の利益を獲得すべく、Tizenに乗り換えるものも出てくるだろう。しかし、Tizenへの参入障壁は極めて高いため、アプリ開発を手掛けられるのは結局Samsungだけかもしれない」と述べる。

 また同氏は、「一体どのOSがウェアラブル市場において優位性を獲得できるのか、現時点で判断するのは難しい」としているが、Reynolds氏はこの点に関して、それほど重要視していないようだ。

 Reynolds氏は、「Samsungは、Android以外のOSを持っていることをアピールしたいのではないだろうか。このため、今後特にブレイクスルーや何らかの移行が生じるとは考えにくい。ウェアラブル機器の場合、幅広いアプリを備える必要がないため、どのOSが搭載されていても特に問題はない。重要なのは、全体としてのシステムインテグレーションだ」と述べる。

 アナリストの予測では、今後ウェアラブル機器が増加していくにつれ、さらに高性能な半導体チップに対する需要が高まるとみられている。Samsungは既に、専用プロセッサを開発し、高い性能と電池寿命の延長を実現している。

 また同氏は、「第1世代のGALAXY Gearは、性能の大半をGALAXY端末に依存していて、まるで母艦と発動艇のような関係だった。しかし次世代機は、機器そのものの機能性が向上し、GALAXY端末への依存度は既存機種よりも低くなる可能性がある。ウェアラブル機器は今後、さらに優れたプロセッサを搭載し、高い性能と処理速度を実現していくだろう」と述べている。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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