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» 2014年04月22日 09時45分 UPDATE

ビジネスニュース 企業動向:長期的な成長に向けパワーマネジメントに傾注するインターシル

インターシルは2013年に大幅な事業戦略の見直しを実施し、市場で強い競争力を発揮できる「パワーマネジメント分野」に傾注する戦略を打ち出し、相次いで独自性の強いパワーマネジメント製品を投入している。

[竹本達哉,EE Times Japan]

 インターシルは2013年に大幅な事業戦略の見直しを実施し、市場で強い競争力を発揮できる「パワーマネジメント分野」に傾注する戦略を打ち出した。そのパワーマネジメント分野でも、「大きな潜在的な成長力がある」というモバイル機器、産業機器/インフラ向け電源で戦略的新製品を発表した。

 インターシルは、パワーマネジメントICと高精度アナログICを主力にする半導体メーカーだが一時、財務基盤が悪化するなど厳しい経営状態となった。そして、経営再建を図るべく2013年3月に、ネイジップ・サイナエアー氏が新たに社長兼CEO(最高経営責任者)に就任するなど経営陣の大きな入れ替えなどを図りながら、事業戦略の見直しを実施。日本法人社長で本社副社長を兼務する和島正幸氏は、「教科書通りの戦略見直しだが、2013年は徹底して、インターシルの持つ技術の棚卸しが行われ、より競争力のあるコア技術に注力することになった」と説明する。そして、その注力するコア技術が、パワーマネジメントであり、早々とパワーマネジメント分野への経営資源の傾斜投下を実施してきた。

1年で業績が急回復、営業利益率20%を突破

tt140422INTERSIL001.jpg インターシルの四半期別売上高と営業利益率 (クリックで拡大) 出典:インターシル

 その結果、2013年第2四半期(4〜6月)、第3四半期と2四半期連続で前四半期比増収を達成し、季節要因で前四半期比減となった第4四半期も前年同期比では増収を達成するなど着実に回復傾向を示した。そして、営業利益率に至っては、2013年は四半期毎に急回復し、2013年第4四半期は営業利益率20%以上を達成。わずか1年足らずで財務基盤の健全化を達成したとする。

 インターシルでは、戦略の見直しを実施した2013年を「再定義」(Redefining)の年と位置付けたのに対し、2014年は「再構築」(Rebuilding)の年と位置付けて、事業に取り組んでいる。具体的には、回復傾向にある売上高の安定化と質的強化、新開発製品の市場導入とシェア拡大、重点分野でのデザインウインの拡大、だ。これらを実現させ、2015年以降に「長期的な成長への回帰」を実現することを狙う。

tt140422INTERSIL002.jpgtt140422INTERSIL003.jpg インターシルの再建に向けた取り組み内容(左)と新たな経営戦略のイメージ (クリックで拡大) 出典:インターシル

 2014年の「再構築」を実現する上で鍵を握る新製品として、このほど2つの製品を発表した。1つは、モバイル機器向けの「ISL911xxファミリ」で、もう1つが産業機器/インフラ向けの「ISL8270M/同8271M」だ。

鍵を握る新製品

 ISL911xxファミリは、スマートフォン/タブレット端末向けに開発された大電流対応の昇降圧(一部品種は昇圧)型スイッチングレギュレータだ。独自の完全同期整流型4スイッチアーキテクチャを採用し、降圧から昇圧へのシームレスな切り替えを実現する。また1セルリチウムイオンバッテリ電圧時に最大2.5Aの出力を供給できる。効率は最大96%で、「バッテリ駆動時間を最大25%延長できる」(インターシル)とする。また「超高速過渡応答を実現し、消費電力のスパイクに起因する大きな電流バーストに対応することができ、出力の大幅な乱れを防止する」という。そのため、低ノイズが要求されるRF回路への電源供給用途にも適する。スイッチング周波数は2.5MHzで、小型の外付け部品も使用可能。パッケージは、2.11×2.37mmサイズのWLCSPを採用する。モバイル・パワー・プロダクツ担当シニア・バイス・プレジデントのアンドリュー・カウウェル氏は、「ISL911xxファミリは、既に複数の有力スマートフォンメーカーが採用している」と今後のシェア拡大に向けた手応えを口にしている。

tt140422INTERSIL004.jpgtt140422INTERSIL005.jpg ISL911xxファミリの概要 (クリックで拡大) 出典:インターシル

 もう1つのISL8270M/同8271Mは、産業機器や通信機器に向けてフルデジタル制御の電源モジュールだ。同社第4世代のデジタル電源コントローラをベースにしたモジュールで、ISL8270Mは25A、ISL8271Mは33Aの電流を供給できる。入力電圧範囲は4.5〜14V、出力電圧範囲は0.45〜4Vとなっている。

 同社第4世代のデジタル電源コントローラは、ChargeModeコントロール技術を採用し補償回路が不要という特長がある。複雑な設計式が不要で外付け部品が省略でき、部品の劣化に応じた継続的な調整機能などによりシステムを安定化できる。その他、過渡応答を高速化できるなどの利点も備える技術だ。

tt140422INTERSIL006.jpgtt140422INTERSIL007.jpg ISL8270M/同8271Mの概要 (クリックで拡大) 出典:インターシル

 パッケージサイズは、17×19×3.5mmと小さいが、銅リードフレーム上にデバイスを直接実装する独自パッケージング技術により優れた放熱性を備える。効率も12V入力、1V出力で25A供給時86.5%を達成している。独自パッケージによりヒートシンクが不要なため、従来の60A出力対応電源モジュールに対し、「電力密度で10倍に高めることができ、電源サイズを大幅に小型化できる」という。デジタル電源制御の場合、設定/プログラミングが必要になるが、インターシルではプログラムを書くことなく直感的に操作できるGUIベースの開発ツール「PowerNavigator」を用意し、アナログ電源システムからデジタル電源システムへのスムーズな移行をサポートする。

 インターシルでは、これら新製品の提案活動を強化し、さらなる事業成長を目指す方針。また日本法人としては、モバイル、産業機器/インフラ市場に加えて、自動車向けパワーマネジメント製品や、パワーマネジメント技術に並ぶ同社のコア技術である耐放射線技術を生かした航空/宇宙産業向け製品の拡販も進めていく方針だ。

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