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ワールドカップ開催迫るブラジルの通信インフラ事情整備が間に合わないかも?(3/5 ページ)

» 2014年05月20日 17時27分 公開
[Jessica Lipsky,EE Times]

 さらにブラジルでは、携帯電話通信インフラの導入に関する法律が極めて厳格であるため、データ転送速度の向上を実現する上で大きな障壁となっている。Sinditelebrasilのリポートによると、地方自治体法や国法など、モバイルインフラの導入に関する法律が約250も存在し、1805の地方自治体に対して適用されているという。また、アンテナの設置数が9000本を上回る場合には、法律によってライセンスの取得が義務付けられているため、通信事業者が4Gの導入を進める上で直面する大きな課題となっている。

 こうした法律のために、コンフェデレーションズカップの時には開催日のわずか2カ月前にようやく建設許可を得られたという企業や、試合が行われた後で作業を完成させなければならなかった企業などもあったという。それでもSinditelebrasilのリポートによれば、コンフェデレーションズカップ開催中、携帯電話機の接続数は1700万台に達し、平均0.5MBのサイズのデータ通信が460万件以上行われた。

 Levy氏は、「国際サッカー連盟(FIFA:Federation Internationale de Football Association)は、一部のスタジアムで報道陣向けに無線LANを提供する義務を負うが、観客に対する責任はない」としている。各スタジアムで4万5000〜7万6000人の観客に対応するために4Gを導入するという課題に関しては、幅広く普及している無線LANでカバーする考えだ。

 これまでに、各スタジアムの屋内用無線ネットワークを整備するための費用として、約2億レアル(約92億円)が投じられたという。ワールドカップ開催中は、250万人の観客が4Gを利用する見込みだ。通信事業者であるClaroやOi、Nextel、TIM、Vivoなどが協業して、スタジアム関連の光ファイバやアンテナなどの設置を進めてきた。

スタジアムをカバーするアンテナの位置(赤丸の箇所) 出典:Sinditelebrasil

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