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ドイツとイングランドの戦いは既にキックオフ? 最先端のゴール判定技術で【前編】ワールドカップで本格的に導入(1/2 ページ)

「2014 FIFAワールドカップ」では、ハイスピードカメラと画像処理技術を駆使したゴール判定技術が、本格的に導入される点にも注目が集まっている。ゴール判定技術を手掛けるドイツ GoalControlと、英国 Hawk-Eye Innovationsが火花を散らしていて、ドイツ対英国の因縁の対決は、“競技場外”では既に始まっているようだ。

» 2014年05月22日 14時05分 公開
[John Walko,EE Times]

 スポーツ技術のパイオニアであるHawk-Eye Innovations。FIFA(国際サッカー連盟)は2012年7月に、Hawk-Eye Innovationsの「ゴール判定技術」を正式に採用すると発表している(関連記事:ソニーのグループ会社ホークアイの「ゴール判定技術」をFIFAが正式採用)。同技術には、「信頼性が不十分であり、試合関係者にゴールを認めるかどうかの判定を知らせる際にセキュリティ上の懸念があるのではないか」という指摘があるが、Hawk-Eye Innovationsはこれをきっぱりと否定した。

注目集めるゴール判定技術

 開催を間近に控えた「2014 FIFAワールドカップ」。今回のブラジル大会では、ゴールを正しく判定するための技術が、ワールドカップとしては初めて本格的に導入される点にも着目したい。

 ドイツ GoalControlは、ブラジル大会でゴール判定技術を提供する企業の1つである。複数の企業で競った末に、ブラジル大会で使用する全てのスタジアムで採用されることになっている。同社のマネージングディレクタを務めるDirk Broichhausen氏は、「Hawk-Eye Innovationsの技術は、自由に利用できる2.4GHzの周波数帯を採用していて、伝送プロトコルに欠陥があるのではないか」と指摘している。

 GoalControlのゴール判定技術「GoalControl-4D」は、審判の腕時計を振動させ、ボール全体がゴールラインを越えたかどうかの信号(メッセージ)が送られる。

ゴールが決まると審判の腕時計が振動する。時計に「GOAL」と表示されているのが分かる

 Hawk-Eye Innovationsのゴール判定技術部門で技術面を主導するLaurence Upshon氏はEE Timesに対し、「当社のIP(Intellectual Property)でもあるので、周波数について詳細を明かすことはできないが、当社のシステムは安全であり、電波干渉の心配もない。もし2.4GHzを利用していたら安全とは言い切れないはずだ。GoalControlが当社の技術について誤った認識を持っているようだ」との見解を示した。

 サッカーでは因縁の敵同士*)であるドイツと英国(イングランド)は、4週間に及ぶ今回のワールドカップでは同じグループリーグに入っていない。少なくとも初期段階では両国のチームが顔を突き合わせることはないのだが、競技場の外では、ドイツ(GoalControl)対英国(Hawk-Eye Innovations)の戦いが既にキックオフしたというわけだ。

*)ドイツとイングランドが因縁の敵と呼ばれるようになった1つのきっかけは、1966年のワールドカップイングランド大会の決勝での対戦(イングランド対西ドイツ[当時])とされる。この時、イングランドが挙げた決勝ゴールが、ゴールラインを越えたか越えていないか微妙な判定の“因縁のゴール”だったこともあり、“因縁の敵”とされる。なお、この“因縁のゴール”は、今日のゴール判定技術導入の必要性を裏付ける代表的な事例の1つでもある。

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