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ハードも柔らかな「真のSDN」を実現する技術をザイリンクスが開発これからのSDNは“Softly” Defined Network(1/2 ページ)

ザイリンクスは、SDN(Software-Defined Network)を構成するハードウェアを再構成可能なFPGAで実現する“Softly”Defined Networkを提唱している。しかし、これまでは“Softly”なSDNを構築するには大きな課題があったが、このほど「SDNet」と呼ぶ技術を開発し、FPGAによるSDNの実現に道を開いた。

» 2014年06月03日 12時10分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

 仮想サーバの登場などにより、ネットワーク機器の組み替えが頻繁に行われるようになってきている。ただ、ネットワーク機器の組み替えには、ルータやスイッチなどの設定切り替え、ケーブル配線の変更など物理的な作業が必要になる。そこで、現在、急速に普及しつつあるのが、「SDN」(Software-Defined Network)だ。

仮想化時代に広がる「SDN」

 SDNは、ネットワーク機器の構成をソフトウェアだけで設定できる技術。物理的な機器設計や再配線などを行わずに、動的にネットワーク構成を変更できる。

 仮想化時代に欠かせないSDNを実現するには、ルータやスイッチなどのあらゆるネットワーク機器がSDNに対応しなければならない。具体的には、あらゆる制御プロトコルや機器構成に対応できるハードウェアを備えておかなければならないということだ。いくらソフトウェアを変更しても、その変更したソフトウェアの処理に対応するハードウェアがなければ動作しない。言い換えれば、SDNでも、ハードウェアがカバーしている範囲内で自在に変更できる制限があり、新たな技術が登場した場合、ハードウェアが対応していない限り、新技術は導入できない。

結局はハードがネックに

 そうした事情から、SDN対応機器は、いわば全機能を網羅するハイスペックなハードウェア(具体的にはASSP)が搭載されているケースが多い。もちろん、どんなソフトウェアでも処理できる汎用のネットワークプロセッサで構成する場合もあるが、高い処理性能が要求されるため、ハイエンドなプロセッサが必須になる。その結果、どうしてもSDN対応機器は高価にならざるを得ない。また先にも述べたように、機能面や性能面でハードウェアが制約となり、SDNの本来の特長である自由度の高さを阻害してしまっているのが実情だ。

 こうした課題を解決するために検討されているのが、ハードウェアさえもフレキシブルに柔軟性を持たせようという考え方だという。常にネットワーク構成に最適化したハードウェア構成に都度、変更することでより高い性能を発揮し、消費電力を抑えていこうとする考え方だ。

“Softly” Defined Network

 回路構成を変更可能なFPGAベンダーであるザイリンクスでは、SDNのハードウェアを変更可能なハードウェア、すなわちFPGAで構成するSDNを、「“Softly” Defined Network」と呼び、提唱している。FPGAであれば、ネットワーク構成に応じて、最小限のハード構成に組み替えることで、消費電力や回路規模の無駄を省き、高い性能と低い消費電力を両立できる。また、FPGAの回路規模の範囲内ではあるが、新たに登場する技術にも既存ハードウェアで対応できる利点もある。

ハードが固定化されたSoftware-Defined Networkと“Softly” Defined Networkの違い (クリックで拡大) 出典:ザイリンクス

 SDNのハードウェアとして、理想的なFPGAだが、大きな欠点が存在する。それは、設計が非常に面倒だということだ。ASSPであれば、ユーザー(ネットワーク機器メーカー)は、ハードウェア設計する必要がない。プロセッサベースのアーキテクチャであっても一部アクセラレータの開発程度で済む。しかし、FPGAであれば、各機能に対応するハード設計を行う必要があり、ASICを自ら制作するのと同様の設計の手間が必要になる。これでは、いくらFPGAが理想的であっても、導入への壁は高くなってしまう。

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