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» 2014年06月27日 10時00分 UPDATE

超低消費電力の新しい時代を拓くMSP430FRAMマイコン

[PR/EE Times]
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 「ロー・パワーからノー・パワーへ……。」

 このキャッチフレーズのもとにテキサス・インスツルメンツ(TI)が開発したのが新世代の超低消費電力マイコン「Wolverine」プラットフォームである。このプラットフォームをベースに第2世代のFRAM搭載マイコン「MSP430FR59x」と「MSP430FR69x」が製品化された。

FRAM搭載で、消費電力を大幅削減

  消費電力の大幅低減に最も貢献したのは、強誘電性メモリ(FRAM:Ferroelectric Random Access Memory)の採用である(表1)。FRAMは、不揮発性メモリの一種で、フラッシュ・メモリの代わりとして採用した。FRAMの消費電力はフラッシュ・メモリと比べると非常に低い。13Kバイトのデータを書き込む場合、フラッシュ・メモリは6600μWの電力を消費してしまうが、FRAMはわずかに27μWで済む。つまり消費電力を約1/250に抑えられる。フラッシュ・メモリは、データを書き込む際に電圧を10〜14Vに昇圧する必要があるのに対し、FRAMは1.5Vと低い電圧で書き込めるからだ。この結果、アクティブ・モード時の消費電流を100μA/MHzに抑えることに成功した。

EETJ140627TI101.gif 表1 FRAMのメリット
FRAMを、SRAMとEEPROM、フラッシュ・メモリと比較した。

優れた耐久性

 FRAMを採用したメリットは、この他にもある。第1に書き込み耐久性が極めて高く、100億回以上の書き込みが可能だ。一方のフラッシュ・メモリは1万〜10万回にすぎない。「1つのメモリ・セルにデータを書き込み続けると、フラッシュ・メモリは約7分で壊れてしまうが、FRAMであれば半永久的に動作し続ける計算になる」(TI)という(図1)。

EETJ140627TINEW001.jpg 図1 FRAMの利点

 第2のメリットは、書き込み速度が高いことだ。13Kバイトのデータを書き込んだ場合、FRAMは6msで作業が完了する。一方、フラッシュ・メモリは約1sを費やしてしまう。さらにFRAMは、1つのメモリ・デバイスの中で、データ領域とプログラム領域を柔軟に設定できるというメリットもある。フラッシュ・メモリにはできなかった芸当だ。

 もちろん、FRAMにも弱点はある。それは、メモリ・セルの寸法が大きいことである。メモリ・セルの面積が大きくなれば、その分だけコストが上昇してしまう。実は、TIがFRAMを集積したマイコンを製品化したのは今回が初めてではない。第1世代品では、最大16KバイトのFRAMしか集積できなかった。しかし、今回はメモリ・セル寸法の微細化を進めることで、現時点で最大128KバイトのFRAMを集積することが可能になっている。「128Kバイトまでなら、フラッシュ・メモリと同等のコストで実現できる」(TI)という。

 優れた耐久性に加え、16ビットRISCマイコンである「MSP430™」をCPUコアに採用し、消費電力を大幅に低減した。MSP430の最大の特長は、消費電力が低い点にある。「過去10年以上にわたって、低消費電力マイコンにおける業界のリーダーの座を確保してきた」(TI)。さらに、乗算器やコンパレータ、ADコンバータなどの周辺機能(ペリフェラル)もすべて、低消費電力化を目的に再設計したという。例えば、ADコンバータの消費電流はわずか75μAである。

センサ・ネットワークなどに向ける

 それでは今回の「MSP430FR59x」「MSP430FR69x」を紹介しよう(図2)。

EETJ140627TINEW002.jpg 図2 TIのMSP430™超低消費電力FRAM製品ポートフォリオ

 周辺機能としては、32×32の乗算器や、3チャネルのDMAコントローラ、4チャネルのUSCIシリアル通信ポート、最大12チャネル入力の12ビットADコンバータ、コンパレータ、ウォッチ・ドッグ・タイマなどを集積した。動作温度範囲は−40〜+85℃である。2014年6月に量産を開始した。

 主な用途としては、センサを使ってデータを頻繁に検出して取り込むデータ・ロギングや、無線機能を搭載したセンサ・ネットワークなどを挙げている。具体的なアプリケーションは、流量計やスポーツ/フィットネス機器、地震モニタリング機器、ホーム・オートメーション機器、安全/セキュリティ機器などである。

電力バジェットの管理が容易に

  新製品の投入に併せて、ソフトウェア開発環境で利用できる新しいデバッグ機能を発表した。「EnergyTrace++™」と呼ぶ機能である(図3)。この機能は、マイコンに搭載した各周辺機能の消費電力をリアルタイムで測定するものだ。これを使えば、電力バジェットに合わせて、ソフトウェアを最適化することが可能になる。「消費電力を突き詰めて低減する必要がある用途に有効な機能だ」(TI)という。

EETJ140627TI005.gif 図3 EnergyTrace++™機能の表示画面
EnergyTrace++機能を使えば、マイコンに搭載した各周辺機能の消費電流をリアルタイムに把握できるようになる。
EETJ140627TINEW005.jpg 図4 低価格の開発キット MSP430FR5969ローンチパッド 価格は29米ドルである。

 TIの統合開発環境「Code Composer Studio(CCS)」で動作する。デバッグに使うJTAGインターフェイスを改良することで、消費電力の監視を可能にした。

 この他、低価格な開発キットである「ローンチパッド」も用意されている。(図4)。価格は29米ドルである。EnergyTraceも利用できる。


次期製品を用意

 TIは既に、次期製品である「MSP430FR69x」のサンプル出荷も始めている。CPUコアのクロック周波数は16MHzで最初の製品と同じだが、FRAMの最大容量を128Kバイトに増やした。

 この他の違いとしては、エンハンスト・スキャン・インターフェイスと液晶コントローラを搭載したことが挙げられる。エンハンスト・スキャン・インターフェイスは汎用の流量計(フロー・メーター)に向けた機能で、メーターの中で磁場情報を読み取る際に利用できる。液晶コントローラは320セグメントのパネルに対応する。量産は2014年末に開始する予定だ。

<超低消費電力マイコンの詳細はこちら→「MSP430FR59x」/「MSP430FR69x」>

<「EnergyTrace++」テクノロジーの詳細はこちら


※ MSP430、EnergyTrace++およびCode Composer StudioはTexas Instrumentsの商標です。その他すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。



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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年7月26日

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