インタビュー
» 2014年07月16日 16時55分 UPDATE

ザイリンクス日本法人代表取締役社長 サム・ローガン氏:ザイリンクス優位は、20nm/16nm世代でも揺るがない (1/2)

ザイリンクス日本法人は、現行の主力28nmプロセス採用FPGAの受注が好調だという。同社社長を務めるサム・ローガン氏に好調の理由や、今後、投入を本格化させる20nmプロセス採用FPGA製品のビジネス展望などを聞いた。

[竹本達哉,EE Times Japan]

 大手FPGAベンダーのザイリンクスにとって、2014年は新たなフェーズを迎える年だ。「非常に競争力があり、大きな成功を収めている」(ザイリンクス日本法人社長 サム・ローガン氏)という28nmプロセスを使った製品群「7シリーズ」に続く、20nmプロセス採用品の市場投入が本格化し、16nmプロセス採用品の出荷もいよいよ始まる予定だ。

 現状のビジネス状況とともに、2014年以降に投入する新製品に対する期待感をローガン氏に聞いた。


順調にビジネス規模が拡大

EE Times Japan(以下、EETJ) 現状のビジネスの概況をお教えいただけますか。

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サム・ローガン氏 近年、順調にビジネスが拡大してきている。

 ザイリンクス全社で見た場合、通信分野向けが最も大きなビジネスになっているのだが、日本市場に限っては産業機器、医療機器、放送機器、民生機器といった分野向けビジネスに注力してきた。これらの分野は、日本メーカーが世界的に強い領域であり、こうした分野に重点を置くのは必然だ。ただ、その分、通信分野向けは比較的弱いポジションにあった。それが、過去3〜4年の間に、通信分野でも、巻き返しが図れ、強さを発揮できるようになってきた。ご存じの通り、通信分野はこのところ、LTE関連の投資が活発化しており、非常に需要が旺盛で、近年の成長を支えている。

ASICからの置き換え進む

EETJ 通信分野向け以外のビジネス状況はいかがですか。

ローガン氏 いずれの分野も成長基調が続いている。その要因は、以前からFPGAが狙っている“ASICからの置き換え”が一層、顕著になってきているということが挙げられる。

 ASICの開発費は高騰してきており、大きな数量が見込める用途以外では、ASICを使用することが難しくなってきている。ただ、これまでASICを使ってきたエンジニアにとっては、「使い慣れているASICを使い続けたい」という意識が根強く残っている。FPGAを使うには「RTLを扱わなければならない」という点が、導入の壁になっていた。それが、最新のFPGA開発ツール「Vivado Design Suite」で提供している高位合成(HLS)ツールの登場で、CやC++、System Cといった高位言語から直接デバイスを合成できるようになったため、ASICからFPGAへの移行が加速してきた。実際、HLSツールの利用数は、世界的にASIC利用率の高い日本市場が最も多くなっている。このことからも、ASICからの置き換えにHLSツールが果たしている役割が大きいことがうかがえる。

 また、最近のビジネスで目立つ存在が、車載機器向けビジネスの急成長だ。売り上げ規模自体はまだまだ小さいが、急速な勢いでビジネスが加速している。海外で、周囲監視カメラや歩行者検知レーダー/レーザーなどADAS(先進運転支援システム)の搭載義務化などの規制が相次いで決まっている。そうした規制は、規制の詳細決定から、規制開始までの時間が短期間の場合が多く、従来のASIC開発では間に合わないため、FPGAを採用するというケースが多く見受けられる。特に、ARMコア(Cortex-A9×2個)を搭載するFPGA製品「Zynqファミリ」は、車載機器市場を主力用途の1つとして開発した製品でもあり評価は高く、車載機器向けビジネスの拡大に貢献している。

EETJ 車載機器向けは他の市場と異なる高い品質、技術サポートレベルが要求されます。

ローガン氏 数年前のテレビの生産が最盛期だったころの話だが、1機種に対し1200万個の製品を納入した際に、「完全な不良ゼロ」を達成したことがある。少し極端な例ではあるが、民生機器向けでもこうした高い品質を実現できているという下地が当社にはある。その上で、より出荷テストを厳しく行う「車載グレード」を設定し、車載向けに出荷している訳であり、品質面ではユーザーから信頼を得ることができている。サポート面でも、2013年秋から自動車業界に強い豊田通商が販売パートナーに加わり、より強い体制を構築できている。

7シリーズ「大きな成功」

EETJ 製品としては、現行の主力世代となる28nmプロセス採用「7シリーズ」が好調のようですね。

ローガン氏 非常に競争力があり、大きな成功を収めている。競合の同世代プロセス品に比べ、配線リソースの最適化により、実質的なユーザー使用可能領域が広いことや、トランシーバが確実、安定的に動作するといった数々の技術優位性が発揮できている。2013年末から出荷の始まった20nmプロセス世代品でも、こうした技術優位性を維持できていると考えている。

tt140716Xil002.jpg ザイリンクスの28nm/20nm/16nmプロセス世代における製品構成 (クリックで拡大) 出典:ザイリンクス

 歴史的に、FPGA業界は、プロセス世代ごとに優劣が入れ替わってきた。28nmプロセス世代では、当社、ザイリンクスが優位性を発揮できているが、その前世代の40nmプロセス世代では、結果的に競合の後じんを拝してしまったといえるだろう。40nmプロセス世代品でも、われわれは優れたデバイスを提供したと自負している。28nm世代では、単純に先端技術だけを搭載する訳ではなく、マーケットを意識した仕様を実現し、もともとのデバイスの技術的優位性を発揮することで、強い競争力を発揮した。

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