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» 2014年08月19日 11時00分 UPDATE

電源設計:ルネサスがマイコン用電源ICの決定版「かんたん電源IC」のラインアップを拡充

ルネサス エレクトロニクスは2014年8月19日、マイコンへの電源供給用ICとして、設計の煩わしさを解消する複数の機能を盛り込んだ「かんたん電源ICシリーズ」の第2弾製品群のサンプル出荷を開始した。ルネサス製のマイコンや産業用SoCに最適な電源ICとして、広く提案していく。

[竹本達哉,EE Times Japan]

 ルネサス エレクトロニクスは2014年8月19日、マイコンへの電源供給用ICとして、設計の煩わしさを解消する複数の機能を盛り込んだ「かんたん電源ICシリーズ」の第2弾製品群のサンプル出荷を開始した。12V系電源に対応する最大入力電圧16Vの降圧型電源ICで、低負荷時の効率を高める低消費電流のPFM(パルス周波数変調)制御方式への自動切り替え機能を搭載する他、バックアップ電池接続用回路を内蔵するなどの特長を持つ。

tt140819RENESAS001.jpg 「かんたん電源ICシリーズ」のラインアップ (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 ルネサスは自社で展開する「RH850ファミリ」「RXファミリ」「RL78ファミリ」など全てのマイコン製品や産業機器向けSoC製品などの電源回路の設計/制御が手軽に行える電源ICを「かんたん電源ICシリーズ」との名称で、2013年から量産出荷している。

 第1弾製品としては、外付けの起動シーケンス用部品や放電用部品が不要で、DC-DCコンバータ3チャンネル、LDOレギュレータ1チャンネルなどを備えるマルチチャンネル電源ICを投入。第2弾となる今回の新製品は、6.5Vだった最大入力電圧を16Vまで高めた12V系電源対応DC-DCコンバータで、1チャンネル品の「RAA2031XX」と2チャンネル品の「RAA2302XX」の2つのシリーズをそろえる。

PFM制御モード自動切り替え

tt140819RENESAS002.jpg 他社製品と新製品(PFM制御モード時)の消費電流の比較 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 いずれの新シリーズも、負荷に応じてPWM(パルス幅変調)制御モードとPFM制御モードを自動的に切り替える「オートPFM機能」を搭載する。PFM制御は、低負荷時にPWM制御モードよりも高効率で電圧変換できる制御方式だ。「他にもPWM/PFMの自動切り替え機能を持つDC-DCコンバータはあるが、新製品はPFM制御モード時の消費電流を競合に比べ、大幅に抑えた点が特長という。ルネサスによると、PFMモード時の消費電流は、PFM自動切り替え機能を搭載した競合DC-DCコンバータよりも60〜80%程度低いという。

ダイオード不要

 新シリーズのもう1つの特長が、バッテリバックアップ回路を内蔵した点だ。

 時計内蔵機器などでは、停電やシステム停止など主電源系統が止まった時にも、リアルタイムクロックや不揮発性メモリへの電源供給を継続するために、バックアップ用電池を搭載している。平常時はバックアップ用電池は使わず、電源遮断時にのみバックアップ電池を使用するための切り替え回路(バッテリバックアップ回路)が必要になる。

tt140819RENESAS003.jpg 従来のバッテリバックアップ回路構成と新製品の比較 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 このバッテリバックアップ回路は、これまで2個のダイオードを使って構成するケースが多かったが、電源回路サイズが大きくなる他、ダイオードで生じる電圧ドロップを考慮した出力電圧のバックアップ電池を選定する必要があり、手間が掛かった。

 これに対し、新シリーズでは、ルネサス製電源ICとしては初めて、IC内にボルテージディテクタとスイッチで構成するバッテリバックアップ回路を内蔵した。電源ICにバックアップ電池を直接付けるだけで、バックアップバッテリシステムを構築できる他、電圧ドロップなどを考慮せず、単純にバックアップ電池を選べるようになる。

 その他、第1弾製品同様に、位相補償回路や負荷容量の放電用回路といった従来、部品を外付けする必要があった各種回路を内蔵。「従来型の1チャンネル電源IC2個で構成したバックアップバッテリシステム付き電源回路を、新シリーズの2チャンネル品で構成すれば部品点数を半減できる」(ルネサス)としている。

 新シリーズのRAA2301XX、RAA2302XXともに、入力電圧範囲は4.5〜16Vで、内蔵パワーMOSFETのスイッチング周波数は1.1MHz。1チャンネルのRAA2301XXは、最大出力電流3Aで、出力電圧3.3V固定品、同5.0V固定品、0.8〜6.0V可変品の3タイプあり、いずれのタイプでもバックアップバッテリ回路搭載/非搭載が選べる。2チャンネル品のRAA2302XXは、最大出力電流3A+3Aで、出力電圧3.3V+可変(0.8〜6.0V)タイプ、3.3V+5.5Vタイプ、可変(同)+可変(同)タイプの3種あり、RAA2301XXと同じく、いずれのタイプでもバックアップバッテリ回路搭載/非搭載を選択できる。

 パッケージは、RAA2301XXのバックアップバッテリ回路搭載品が16ピンHTSSOP、同非搭載品が8ピンHLSOPとなっている。RAA2302XXはいずれも20ピンHTSSOPを採用している。サンプル価格は65〜140円で、2014年10月から量産を行う予定だ。

30V系電源対応製品も

 ルネサスでは、かんたん電源ICシリーズの第3弾として最大入力電圧33Vに対応する製品群の開発を進めるなど、今後も同シリーズのラインアップを拡充していく方針。さらに、かんたん電源ICシリーズを使った電源設計をさらに容易にするため、ルネサス製マイコンとかんたん電源ICの結線図を無償提供していく他、「マイコンの評価ボード/開発キットには原則、かんたん電源ICを搭載し、より簡単に設計できる環境を提供していく」(ルネサス)。

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