特集
» 2014年09月03日 12時30分 UPDATE

ビジネスニュース 企業動向:「制御とITの融合技術」で「一歩先の世界へ」――ルネサス DevCon基調講演リポート (1/2)

ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は、「一歩先の世界へ〜Keeps you ahead of the challenges〜」をテーマにしたプライベート展「Renesas DevCon Japan 2014」を開催した。同社幹部による基調講演や多くのセミナー、製品展示などを通じて、「制御とITの融合技術を推進」することで実現可能となる「一歩先の世界」を提案した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2014年9月2日、「一歩先の世界へ〜Keeps you ahead of the challenges〜」をテーマに、プライベート展「Renesas DevCon Japan 2014」を東京都内で開催した。同社幹部による基調講演や多くのセミナー、製品展示などを通じて、「制御とITの融合技術を推進」することで実現可能となる「一歩先の世界」を提案した。本稿では、同社幹部による基調講演に関して、その概要を紹介する。

事業ドメインを製品からアプリケーションへ

 基調講演ではまず、会長兼CEO(最高経営責任者)を務める作田久男氏が登壇し、「改革プラン」の進捗状況などについて説明した。作田氏は2013年6月に会長に就任し、「構造改革」と「事業の選択と集中」に取り組んできた。「会長に就任する前は、ルネサスの半導体を購入する立場にあったが、正直言って企業として存続できるかどうか不安があった。会社の存在を確かなものとするために、変革プランを断行した」と、当時を振り返る。

tm_140902renesas_revcon01.jpg 基調講演する会長兼CEO(最高経営責任者)の作田久男氏

 作田氏が「企業の価値」を評価する指標として最も重視しているのが粗利率である(関連記事:もうからない製品はやめる! ――ルネサス、売上高25%相当の製品を終息へ)。2013年度下期におけるルネサスの粗利率は38.3%である。2年前に比べるとおよそ10ポイント改善しているという。さらに、2016年度下期には粗利率45%の達成を目指している。「今回のプライベート展では、変革しつつあるルネサスの姿を見ていただき、卓越した技術を体感してほしい」と述べた。

 集中する事業領域としては、「自動車」、「産業・家電」および「OA・ICT」を挙げる。R&D投資もこれらの領域に集中させる。例えば、R&D投資総額のうち、集中領域への比率は、2013年度に55%だったが、2014年は65%へ、さらに2015年度は80%に高める予定だ。開発の方向性も「デバイス技術を中心に機能や性能を追求する展開から、アプリケーションを中心にソフトウェアを含めたプラットフォームの提供を目指す」考えだ。作田氏は、「対象とするビジネスの窓口は狭くなるかもしれないが、奥行きを深くしていく」と話す。そして、「一歩前に進むために、ルネサスが保有している知見や技術、信頼性を融合させて、ビジネスを進化させていく。そのためにはルネサスの強みや製品価値に対して、さらに磨き上げることも重要となる」と締めくくった(関連記事:ルネサス 作田CEOがM&Aを示唆――相次ぐ競合の買収ニュースに「心中穏やかではない」)。

tm_140902renesas_devcon02.jpg R&Dの方向性 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

運転者のニーズを聞く

tm_140902renesas_devcon03.jpg 執行役員常務を務める大村隆司氏

 執行役員常務を務める大村隆司氏は、クルマに対する消費者のニーズとそれを可能とするルネサスの技術を紹介した。同社は車載向けマイコンの出荷量が2013年に7億6000万個となった。全世界で生産されるクルマ1台当たり、ルネサス製マイコンが平均10個搭載されている計算となる。車載情報機器向けSoC「R-Car」の出荷数は2013年間までに累計1億2000万個で、そのシェアは「7割を占める」という。

 車載向けマイコンやSoCで高いシェアを有する同社だが、今後の事業方針としては、消費者(運転者)の要求を満たすことができる製品の開発に取り組んでいくという。その要求とは「エコカー・燃費向上」、「メンテナンス性」、「安全性向上」そして「クルマのIT化」である。

 例えば、次世代の低燃費エンジン向けには、40nmプロセス技術を用いることで従来品の2倍の演算性能を実現した高性能マイコンや、耐圧70Vで面積当たりのオン抵抗を競合製品の1/3に抑えた90nmアナログ製品を提供している。また、HEV/EV用モータ駆動ECU(インバータ)向けには、モータ制御用マイコンとマイクロアイソレータ、IGBTの3製品をキットで用意している。これによって、ECUの容量を40%小さくできるという。「いずれはHEV/EV用モータ内部に実装できる小型サイズとしたい」(大村氏)という。

tm_140902renesas_devcon04.jpgtm_140902renesas_devcon05.jpg 次世代の低燃費エンジン向けた新技術(左)と、HEV/EV用モータ駆動ECU(インバータ)向けキットソリューション (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 メンテナンス性の向上については、OTA(Over-the-air)により外部から車両診断やモニタリングを可能とする技術を提案する。ルネサスが得意とするフラッシュ内蔵マイコンやセキュリティ技術を活用する。

 安全性の向上に関しては、安全制御技術とセンシング認識技術を組み合わせて提案する。大村氏は、「2014年秋には新たなセーフティマイコンを発売する」ことも明らかにした。RH850 G3Mプロセッサコアを4個搭載し、8Mバイトのフラッシュメモリ、1MバイトのRAMを内蔵する。さらに、機能安全規格「ISO26262 ASIL-D」やセキュリティの「Evita」に対応しているという。

tm_140902renesas_devcon06.jpg 開発中のセーフティマイコンの概要 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 安全運転支援システム(ADAS)に向けたSoC「R-Car V2H」も2014年8月末に発表した(関連記事:ルネサスが次世代サラウンドビュー向けSoCを開発、全方位をリアルタイムで認識)。4台のカメラからの画像を同時に認識することが可能なため、1チップでクルマの周囲の危険を察知することができる。さらに、自動運転に向けてカーネギーメロン大学と画像認識のアルゴリズム開発を行っている。次世代交通システム(ITS)向けの車車間/路車間通信システム関連のチップ開発にも取り組んでいる。

 クルマのIT化では、統合コクピットを開発している。必要な時に必要な情報をコクピット上に瞬時に表示することができる「人にやさしいインタフェース」を目指している。「パーソナライズ」、「スケーラビリティ」、「フレキシビリティ」がコンセプトである。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

All material on this site Copyright © 2005 - 2017 ITmedia Inc. All rights reserved.
This site contains articles under license from UBM Electronics, a division of United Business Media LLC.