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» 2014年09月09日 12時15分 UPDATE

ビジネスニュース 企業動向:Appleの中国下請け工場、安全基準違反が明らかに (1/2)

Appleの「iPhone」や「iPad」の部品を製造する中国の下請け工場Catcher Technologyに、労働者の健康や安全に関わる重大な基準違反があることが明らかになった。Appleはこの報告を受けて、即座に調査チームを同工場に派遣したという。

[Jessica Lipsky,EE Times]

 非営利団体(NPO)のChina Labor Watch(CLW)とGreen Americaが発表した調査リポートによると、中国江蘇省宿遷(Suqian)にあるApple下請け工場Catcher Technologyにおいて、労働者の健康や安全、環境、人権などに関する重大な基準違反が明らかになったという。Catcher Technologyは、Apple「iPad」のメタルケースや、「iPhone 5」向けの部品などの製造を手掛けている。また同工場は、Appleの他にも、DellやHP(Hewlett-Packard)、Lenovo、ソニー、HTC、Motorola Mobilityなど、さまざまなメーカーと契約を結んでいる。

 Catcher Technologyは、約2万人の従業員を雇用している。同社に関する今回の調査では、20項目に及ぶ法律/倫理違反が見つかった。例えば、アルミニウムマグネシウム合金の粉末が床に散乱していることの他、工場内のごみやちりの濃度が高い上に換気が十分でなく、可燃性材料を扱うための保護具も不足していることなどが分かっている。また従業員は、肌が直接有毒物質にさらされているような状態にあり、ベンチレータマスクも使っていない。さらに、工場廃液が地下水や近くの川などにそのまま流されているという。

 調査担当者によると、従業員たちは年1回の避難訓練に参加しておらず、非常用出口には鍵が掛かっていたという。

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 Green AmericaのキャンペーンディレクタであるElizabeth O'Connell氏は、プレスリリースの中で、「Catcher Technologyでは2年連続で健康・安全基準に関する違反が見つかり、大きな衝撃を受けている。可燃材料の取り扱いが必要な労働環境下において、避難訓練が行われず、非常用出口に鍵が掛けられているという状況は、断じて許されるものではない。さらに、安全教育が行われておらず、有害物質が不適切に取り扱われていることから、従業員の生命を脅かすような緊急事態がいつ発生してもおかしくない状況だといえる」と述べている。

 今回の調査から、さまざまな年代の従業員たちが長時間労働を強いられていることも明らかになった。中には、16〜18歳の学生もいるという。調査チームによれば、従業員たちは、賃金が支払われないサービス残業を1カ月当たり6時間強いられ、29万米ドルの未払い賃金を抱えている。これについて不満を訴えれば、報復を受ける恐れがあるという。

 CLWでプログラムコーディネータを務めるKevin Slaten氏は、プレスリリースの中で、「従業員は、1週間のうち6日間、立ちっぱなしの状態で1日当たり10時間以上の労働を強いられている。それにもかかわらず、時間外労働に対する賃金が十分に支払われていない。これは、工場とAppleが利益最大化のために行っている搾取だ」と述べている。

 リポートによると、今回の調査期間中、Catcher Technology宿遷工場の従業員のうち500〜600人が、江蘇省泰州の姉妹工場で「iPhone 6」の製造に携わっていたという。

Appleは即座に調査チームを派遣

 CLWは、2013年4月にも同じくCatcher Technologyの工場の調査を行っていて、今回と同様の規則違反を見つけている。担当者によると、Appleはその時、労働環境の改善を約束したという。しかしそれでも、今回の調査では全く進展がみられなかった。Appleは以前に、中国国内にある18カ所の最終組み立て工場において、製造過程でベンゼンとノルマルヘキサンの使用を禁止することを約束している。しかし、これらの18の対象工場の中に、Catcher Technologyは入っていない。

 技術コンサルティング会社であるCreative Strategiesで社長を務めるTim Bajarin氏は、「Appleは、工場の従業員に関する問題について、一貫性のある対応を取ってきた」と主張する。同氏は、Appleが過去3年間で450回に及ぶ工場調査を行ったことについて取り上げた他、Appleと提携している各工場の安全管理者に向けて、18カ月間に及ぶ教育プログラムを実施していることなどに言及した。

 Bajarin氏は、EE Timesの取材に応じ、「Appleは今回、火災の危険性などが明らかになったことに対し、迅速な対応をとったといえるだろう。だからといって、こうした事態になることはもうない、とは言い切れない。Appleは、今回の調査結果を受け、直ちにCatcher Technologyに調査チームを送り込んでいる。Appleは、サプライチェーンのあらゆる側面を注視する必要があり、少なくとも状況を確認しなければならない」と述べている。

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