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» 2014年09月30日 15時31分 UPDATE

Qualcommを抑えて:車両間通信向けチップセット、NXPがデザインウィンを獲得

GMは、2017年モデルの「キャデラック」に、車両間通信(V2V)を搭載する予定だ。V2V向けのモジュールには、Cohda Wirelessのソフトウェアと、NXP SemiconductorsのIEEE 802.11p対応無線チップセットが搭載されている。

[Junko Yoshida,EE Times]

 Delphi Automotiveは、GM(General Motors)の「Cadillac(キャデラック)」2017年モデル向けに、ティア1(第1階層)サプライヤとして車両間通信モジュールを提供することになったと発表した。米国においてV2V(車両間通信)とV2I(車両・インフラ間通信)が実現する日は近いかもしれない。

 Delphi AutomotiveのV2V/V2I通信プラットフォームを支えているのは、Cohda Wirelessが開発したアプリケーションソフトウェアと、NXP Semiconductorsが開発したIEEE 802.11p対応無線チップセットだ。IEEE 802.11pは、自動車業界向けに策定された無線通信規格で、DSRC(Dedicated Short Range Communications)とも呼ばれる。

mm140930_nxp1.jpg Cohda WirelessとNXP Semiconductorsが開発したIEEE 802.11p対応無線チップセット

 GMのCEO(最高経営責任者)であるMary Barra氏は、2014年9月7〜11日に米国のミシガン州デトロイトで開催された「第21回ITS世界会議デトロイト2014」において、「キャデラックの新型モデルに半自動システムを搭載することにより、高速道路でのハンズフリー運転を実現する。今後2年以内には発売できる予定だ」と発表した。また、同社にとって初となるV2V技術搭載モデルを、2016年に市場投入する予定であることも明らかにした。

 Delphi Automotiveでバイスプレジデント兼チーフテクノロジストを務めるAndrew Brown氏は、2014年9月22日に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された、NXP主催のV2V関連のメディアイベントにおいて、「スマートフォンで実現している常時接続機能と、DSRCの超低遅延の車載通信を組み合わせることにより、自律走行車の開発実現に向けたサポートを提供することができる。コネクティビティは、自動運転機能とは同じではないが、その実現を手助けする存在だといえる」と述べた。

 Brown氏は、「車車間通信とインフラが実現すれば、より安全で地球にも優しい運転環境を実現できるようになる」と述べる。DSRC対応システムは、歩行者が交差点を渡ろうとしている場合に、たとえドライバーの視界が遮られているような状態でも注意を喚起することが可能だ。また、信号が変わるまでの時間をドライバーに知らせることなどもできる。

802.11p対応チップセットをめぐる戦い

mm140930_nxp2.jpg Delphi AutomotiveのAndrew Brown氏

 大半のチップメーカーは、802.11p対応製品に関する計画について何も明らかにしていない。ただし、Qualcommだけは例外だ。同社は2014年1月、「Snapdragonオートモーティブソリューション」を発表している。その時に、車載用セルラーモデム市場における同社の存在感の大きさを強調し、無線LANチップにDSRC技術を適用する考えであることを明らかにした。

 だが、不思議なことに、自動車業界初となるV2V/V2I通信関連の大規模な実用化においてデザインウィンを獲得したのは、Qualcommではなく、Cohda WirelessとNXPの共同開発チームだった。

 Cohda Wirelessでセールスディレクタ兼ゼネラルマネージャを務めるPatrick Brunett氏は、EE Timesの取材に応じ、「Cohda Wirelessが持つ、ITSに関する深い知識と無線分野の専門技術に、NXPのソフトウェア無線技術を組み合わせれば、両社の開発チームが手掛けるDSRC製品の信頼性と堅牢性を、競合他社のソリューションに比べて一段と高めることができる。一方、QualcommのDSRCはもともと、同社の子会社であるQualcomm Atherosが開発した、ハードワイヤードシステムだった」と述べている。

 Cohda Wirelessは、University of South Australia(南オーストラリア大学)に勤務していた研究者たちが2004年に設立した企業だ。オーストラリアのノース・アデレードに本拠地を置く。2013年、同社はCisco SystemsとNXPから資金を受けている。Cohda Wirelessは、NXPが中心として構築しているV2V/V2Iエコシステムの重要なメンバーになっている。

 両社が開発したDSRCモジュールは、NXPのベースバンドチップやCohda Wirelessのファームウェアを搭載している他、GPS/Glonassにも対応している。DSRCモジュールを自動車に実装する場合、V2V/V2I対応のアプリケーションを動かすマイコンも必要になる。Cohda Wirelessの事業開発部門でバイスプレジデントを務めるBernd Luebben氏によれば、DSRCモジュールは、演算性能が400DMIPSのマイコンであれば、どのマイコンを使ってもよいという。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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