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HPが分社化へ、5000人の追加解雇もビジネスニュース 企業動向

HPが、HPとHP Enterpriseの2社に分社すると発表した。HPはPCやプリンタを、HP Enterpriseはサーバやクラウド、ストレージといった事業を担当する。さらに、リストラに伴い従業員5000人の追加解雇も発表した。

» 2014年10月17日 12時17分 公開
[Rick MerrittEE Times]

 “業界の雄”であることは、簡単なことではない。コンピュータ業界では、特にそうだ。

 HP(Hewlett-Packard)は2014年10月6日、同社をHPとHP Enterpriseの2社に分社化することを公式発表した。だが、この方法が、大手コンピュータ会社が抱える課題の解決策になるとは限らない。HPは、5000人を追加解雇する計画も発表した。さらに、同社が米国のストレージ大手EMCを買収するといううわさについても、検討中であることを明らかにした。

 コンピュータ業界は近年、スマートフォン/タブレット端末のクライアント分野とクラウドサービスのバックエンド分野に二分されるようになっている。HPは、昔からのライバルであるDellやIBM、Oracleと同様に、こうした変化への対応に苦戦を強いられてきた。クライアント事業とクラウドコンピューティング事業を分割することで、両事業間に生じる成長の差に悩むことはなくなるだろう。

 ただし、分社化がよりよい結果を生むとは限らない。市場や従業員、アナリストは、今回の決定に対して消極的な反応を示している。

 HPは、HPのロゴを引き継ぎ、プリンタとPCの販売を手掛ける。一方、HP Enterpriseは、サーバ、ストレージ、ネットワーク機器/サービスを扱う。現在HPのCEO(最高経営責任者)を務めるMeg Whitman氏が、HP EnterpriseのCEOとHPのチェアマンに就任する。HPのCEOは、HPのPC/プリンタ事業部を率いるDion Weisler氏が務める。

HP、HP Enterpriseの概要。売り上げや利益の規模は、ほぼ同等になる(クリックで拡大)

 Whitman氏は、カンファレンスコールにおいて、「HPとHP Enterprisはそれぞれ、2014年の年間売上高が約570億米ドル、営業利益が約50億米ドルになる見通しだ。分社化によって身軽になり、各社の事業にさらに集中できるようになる。市場は驚くほどのスピードで変化している。成功を手にするには、この変化に迅速に対応することが必要だ」と述べた。

 Whitman氏はHPのCEOに就任した2011年当時、PC部門のスピンオフを却下した。就任から3年が経過した今、この決断が功を奏したとはいえない状況だ。アナリストがカンファレンスコールで同氏に見解を求めたところ、Whitman氏は、「HPは今、ダイベストメント(投資の撤収)を行うだけの財務力と組織力を備えるが、当時はその基盤が整っていなかった」と述べた。

 カンファレンスコールでは、分社化によって生み出される“逆相乗効果”について、激しい議論が飛び交った。HPの役員は、「今後は、さらに積極的に経営を進めていく。コスト管理の一環として、解雇人数を5000人増やし、合計5万7000人の従業員を削減する計画だ」と述べた。同社は2012年に3万6000人を解雇するリストラ策を発表したが、2014年5月に、さらに1万6000人を解雇する計画を明らかにしていた。

 同社は、「解雇人数を増やしたことは、分社化とは関係ない」と述べている。実際に、分社化によって重複する役職も発生するとみられるが、HPは、「分社後の両社間で業務委託を行うことで、負担を軽減したい」としている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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