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» 2014年11月07日 11時15分 UPDATE

無線通信技術 メタサーフェス:“電波ゼロゾーン”も実現可能? 無線信号を集約する技術 (2/2)

[Julien Happich,EE Times Europe]
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スマートウォールなどに応用可能

 現在、スマート材料に注目が集まっている。熱性能や音響性能などが改善されただけでなく、太陽光発電窓などのエネルギーハーベスティング技術向けとしての開発も進んでいるためだ。このような同調可能なメタサーフェスによって、“電磁的スマート材料”という新たなカテゴリが生まれる可能性がある」(同氏)。

 メタサーフェスの実際の用途例としては、オフィス用家具や建設用パネル、カーペット、天井タイルなどが挙げられる。いずれにおいても、同じ消費電力で通信性能を高めることができるという。このため、基地局の数を削減したり、放射される無線電力やユーザーの電磁場暴露などを軽減したりすることも可能になる。この他、飛行機や電車などでも、スマートウォールを同調させることによって、複数のユーザーに向けて無線信号を集めるといった用途が想定される。

 Lerosey氏は、「現在では、電磁気的な汚染に対する懸念がますます高まっている。このため、われわれが開発したソリューションは、しかるべき方向に向かっているといえる」と述べている。同氏によると、「ターゲットとする全ての周波数に応じて、共振器の寸法を変えることが可能だ。Wi-Fiはいずれ、5GHz帯の利用へと移行していくため、より小型のリフレクタを採用することによって集積数を増やせば、集約機能やゲインをさらに高められるようになる」という。

 フランス国立技術研究機関(CNRS:Centre National de la Recherche Scientifique)は、さまざまな種類の国際特許を確保している。研究グループは、今回の研究成果が投資企業にとって非常に魅力的であることを確信しているという。

 Lerosey氏は「われわれは現在、建設資材メーカーや無線インフラメーカーなど、さまざまな企業との間で話を進めているところだ。ただし、今回開発したソリューションは、消費者レベルでも簡単に導入することが可能なため、オープンな協業関係を構築したいと考えている」と述べる。同氏はFink氏と共に、学者としての立場を維持しながら、コンサルタントとしての役割も担っていくという。

 研究所で行われた実験では、汎用のプリント基板をベースに手作りされた、頑丈な試作機が使われた。しかし、大型のメタサーフェスを作成する場合には、プリンテッドエレクトロニクス(印刷エレクトロニクス)が最も適しているだろう。これまでのところ、同調の最適化は手作業で行われている。個々のリフレクタのスイッチのON/OFFを順番に切り替えて、受信アンテナにフィードバックされる強度を確認することにより、無線の受信量を最大化している。そこで研究グループは、移動する受信機向けの手順をリアルタイムで自動化できるよう、簡単なアルゴリズムの開発に取り組んでいるところだという。

“無線ゼロゾーン”も実現可能?

 リフレクタの数を増やせば、より大きな“無線集中ゾーン”を作り出せるようになる。反対に、電磁場が最小化あるいはゼロになるようリフレクタを同調すれば、“無線が存在しないゾーン”を作り出せる可能性もある。そうすれば、研究所での実験や、消費者の自宅(就寝中の枕元など)において、電磁気的汚染を局所的に削減するといった用途も可能になるかもしれない。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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