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» 2014年11月10日 17時15分 UPDATE

ビジネスニュース 企業動向:NECがスマホで“モノの指紋”を見分ける技術を開発

NECは、工業製品や部品の固体を識別できる「物体指紋認証技術」を開発した。スマートフォンなどに内蔵されたカメラで個体を撮影し、事前に登録した紋様の画像データと照合することで、製品個体の識別を高速、高精度に行える。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

部品の固体特定や偽装ブランド品対策に

 NECは2014年11月10日、工業製品や部品の固体を識別できる「物体指紋認証技術」を開発したと発表した。金属やプラスチックを用いた工業製品や部品が持つ固有の紋様を利用し、スマートフォンのカメラなどで製品個体の識別を高速・高精度に行えるようにした。使用する部品の正誤確認やブランド品の真贋(しんがん)判定などの用途に向ける。

 新たに開発した物体指紋認証技術は、個体や製造元を認識する技術である。「物体指紋」とは、金属やプラスチック製品/部品を製造する際に自然発生する、微細で固有な紋様を指す。この物体指紋をカメラで3D画像データとして登録、照合することで正誤や真贋を判別する。物体指紋をデータベースに登録するために行う事前の撮影も、スマートフォンなどに内蔵されたカメラで行えるという。

tm_141110nec01.jpgtm_141110nec02.jpg スマートフォンに専用アタッチメントを取り付けて部品の表面などを撮影し、事前に登録してあるデータベースと照合して、物体指紋認証を行う。左が表示部、右は裏面部でカメラ部に取り付けられた専用アタッチメント (クリックで拡大)

マクロ機能付きカメラなら可能

 物体指紋の採取には、一般的なスマートフォンやタブレット端末に内蔵されたカメラを用いる。カメラ部には測定する領域の位置決めを容易にするための専用アタッチメントを取り付ける。特に、「特徴抽出技術」を新たに開発したことで、微細な物体指紋を高精度に認証することができるようになった。しかも、特殊な分析装置や知識がなくても、物体識別を容易に実現することが可能である。撮影する領域は数mm角で済み、マクロ機能付きカメラであれば対応できる。

同じ装置で製造しても異なる物体指紋

 物体指紋は、人間の指紋と同じように個体によって異なり、同じ装置や金型を使って製造しても、それぞれ違った紋様になる。しかも人間の眼では判別することが難しいほど微細で、部品表面を意図的に加工することは困難だという。同社はこれまで、文字認識技術や指紋認証技術、顔認証技術などを開発し、実用化してきた。これらの技術をベースに、今回は位置合わせ技術を含め、データベースに保存された物体指紋データと、高速に照合する技術などを新たに開発し追加している。

 対応可能な素材は金属やプラスチックなどである。経年変化するものや、変化して元に戻らない素材などは今回の認証技術には適さない。同社が行ったボルトの認証実験によると、100万回の実験で全て正しく認証されたという。

2015年4〜9月に実用化へ

 今回開発した物体指紋認証技術を応用することで、これまで製品管理に用いていたバーコードやICチップなど識別専用タグの取り付けや、製品自体に特殊加工を施す必要がなくなった。主な用途としては、ネジ/ボルトなど部品の保守点検、工業用ミシンなどの模造品対策/ブランド保護、バッグなどの製品トレーサビリティなどに活用できるとみている。

 同社は、既に物体指紋認証技術の基本開発を完了し、数社とは先行的な実証実験を行っている。今後はパートナー企業とさまざまな用途向けで実証実験を行い、2015年度上期中には、システムソリューションとして事業化を目指す予定だ。まずは、製品/部品の真贋判定向けシステム/サービスを想定している。

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