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スマートホームの実現を引き寄せる――Bluetoothが支える3つの要件急成長する新市場(1/2 ページ)

70年前に人々が描いた“未来の家”のコンセプトは、スマートホームとして実現に近づきつつある。スマートホームでは、自宅に置かれたあらゆる機器を相互に連携させ、一括で管理するために、3つの要件が欠かせない。それに応えるのがBluetooth Smartだ。

» 2014年12月25日 08時30分 公開

 ネットワークが張り巡らされた室内環境、すなわちスマートホームの実現は、モノのインターネット(IoT)の中でも伝統的な取り組みだ。

 その歴史は1933年までさかのぼる。米国のシカゴ万国博覧会で「未来の住宅」展が話題になって以来、ホームオートメーションの実現を担う業界標準、企業、新興企業を支援するプロジェクトが数え切れないほど登場してきた。

 米調査会社のIHS Technologyは、スマートホーム市場が前年比56%増のペースで成長し、関連する機器の出荷台数は2018年までに1億9000万台に達すると予測している。また、米調査会社のStrategy Analyticsは、2018年までに2億2400万世帯(全世界の全世帯数の12%に当たる)でスマートホームシステムが最低1台は導入されていると予測している。

 一方でスマートホームが広く普及するには、解決すべき課題がいくつか存在する。例えば、スマートフォンで操作可能な照明や、食品が賞味期限切れになる前に通知する冷蔵庫など、スマートホーム革命の一端を担う画期的な新製品が登場しているが、つい最近まで各種製品を相互運用できる統一されたプラットフォームが存在しなかった。

 スマートホーム実現には、次の3つの要件が欠かせない。

  1. ユーザーによる操作が不要の接続性
  2. あらゆる機器との相互運用性
  3. ダッシュボードの構築

リモート操作

photo 画像はイメージです

 第1の要件として、ユーザーによる自宅のリモート操作を可能にする機器について検討してみよう。鍵/ロックシステムを手掛けるAugustのドアロックは、スマートフォンでドアを解錠できる機能を備えている。このタイプのドアロックは、清掃サービスの業者を家に入れるような場合には便利だが、この製品はさらに進化する可能性がある。例えば、現行製品では、ユーザーが手元の端末でアプリケーションにログインして解錠する必要があるが、将来的には、帰宅する車をドアロックが認識し、自動で解錠することも可能になるだろう。さらに一歩進めば、住人が外出したことをドアロックが検知し、宅内にある他の接続機器と通信した後、セキュリティシステムの始動、調理器具の電源オフ、全てのドアの施錠といった操作を行うようになるかもしれない。

あらゆる機器との相互運用性

 本格的なスマートホームを実現するには、あらゆるモノが相互通信する機能が必要だ。この第2の要件、「相互運用性」には、家の中にある製品だけでなく、住人が持つパーソナル端末のあらゆる要素が関連してくる。Augustのドアロックの場合、スマートフォンで解錠する点が実用的だ。ウェアラブル機器の普及が進めば、ドアロックが、スマートウオッチやフィットネスのトラッキング用機器、シューズ/靴さえも、認識することが必要になるだろう。

 一方で、オフィスや自動車、自宅と接続可能な機器があっても、ユーザーがそれぞれ個別に接続するのは非効率的だ。全ての機器が相互に連携して初めて、何の境界も感じない、“シームレス”なIoTに基づく日常生活を送ることができるようになる。

ダッシュボードの必要性

 自宅環境にあるあらゆるスマート機器から収集した情報を一括管理する機能、つまりダッシュボードも必要だ。Cisco Systemsは、ネットワークにつながる機器の数は、2020年までに約500億台に達すると予測している。世界の人口が80億人であることを考えれば、1人が多くのスマート機器を所有することになるのが分かる。そうなると、1つ1つのセンサーを個別に管理することはもはや不可能だ。現在のところ、ダッシュボードとしては、Appleの「HomeKit」やスマートホーム向け製品を手掛けるOortやiDevicesのシステムがある。

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