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欧州市場はマイクロDC/DCコンバータ1本で攻める小型/低ノイズで付加価値を高める(1/2 ページ)

一時、業績が悪化したものの、回復基調にあるトレックス・セミコンダクター。特に欧州での売り上げが順調に伸びているという。その要因として、小型と低ノイズにこだわったコイル一体型の「micro DC/DCコンバータ」を、需要のあるメーターやインフラ系の分野で着実に販売できる体制を整えてきたことが挙げられる。

» 2014年12月26日 09時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 2015年に創立20周年を迎える、電源IC専業メーカーのトレックス・セミコンダクター。2014年4月には、東京証券取引所JASDAQに株式上場した。2008年に、リーマンショックの影響で業績は一時悪化したものの、ここ2〜3年は拡大基調にあり、2014年3月期には、前年比9.2%増となる93億9000万円を達成している。

 特に大きく伸びているのが欧州市場での売上高だ。2014年11月にドイツ ミュンヘンで開催された「electronica 2014」にも出展、同社の主力製品であるコイル一体型の「micro DC/DCコンバータ XCLシリーズ」などをアピールした。トレックスの専務取締役 事業本部長を務める芝宮孝司氏に、欧州市場での戦略などについて話を聞いた。

欧州拠点、売上高は前年比で44%増に

photo トレックス・セミコンダクターの芝宮孝司氏(左)と、Torex Semiconductor Europeのマーケティングマネージャ Andy Scott氏

EE Times Japan(以下、EETJ) 英国に拠点を構えるTorex Semiconductor Europeについて教えてください。

芝宮孝司氏 Torex Semiconductor Europeは2001年に設立されました。現在、2人のFAE(Field Application Engineer)を含む計14人が勤務しています。ここは非常に伸びている拠点で、2014年3月期には売上高(デザインベース)が前年比で44%増を達成しました。今後は、産業機器向けを中心に伸ばすことを目指します。

 特に販売を強化したいのが、やはりmicro DC/DCコンバータです。同製品は用途に応じてシリーズを拡大していて、ワールドワイドでの引き合いもかなり強いものです。新しい「XC9265シリーズ」は2014年末に量産を予定していて、これはウェアラブル機器など、待機時間が長い製品向けとなっています。ウェアラブル市場は伸び盛りですし、この製品に対する注目度は高くなると見ています。ただ、低ノイズなので、車載やPCをはじめ幅広い分野に応用できる可能性もありますね。

EETJ 欧州でもウェアラブル機器がターゲットになるのでしょうか。欧州では、アジアの一部や米国に比べて、あまり盛り上がっていないように感じるのですが。

芝宮氏 欧州では、パワーグリッドやメーターへの用途を狙います。こういう分野では、メーターを電池で15年や20年持たせなくてはなりません。ですから低消費電力の電源ICが必要になるわけです。欧州は温水メーター、下水メーターなどメーターの種類も多く、個数は出なくても安定した市場になっています。さらに、高齢者向けの製品やサービスなどからの引き合いも多くなっています。欧州では、“これだけ!”というくらい、XCLシリーズに注力して拡販していきます。

EETJ 欧州での売り上げが大きく伸びた要因は何でしょうか。

芝宮氏 大きな取引がいくつかあったのは事実ですが、特にメーター、インフラ向け製品の需要が高く、そこで売り上げが積み上がったのが主な要因です。また、欧州ではこれまでLDO(低ドロップアウト)を使うことが多かったのですが、最近は消費電力の問題からDC/DCコンバータを採用するケースが増えています。こうした動向から、率直な言い方をすれば利益をきちんと出せる製品が売れるようになってきたということです。そのため、ある程度安定して売上高を維持できるようになりました。

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