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モバイル向けDRAMは堅調、タブレット端末がけん引役にビジネスニュース 市場予測

モバイル機器向けのDRAMは、特にタブレット端末がけん引役となり、堅調に成長するとみられている。タブレット向けDRAMは、2015〜2018年は年平均成長率10.64%で伸びる見込みだという。

» 2015年01月16日 12時30分 公開
[Gary HilsonEE Times]

 市場調査会社であるTechNavioが最近発表した調査結果によると、タブレット端末向けDRAMの世界需要は今後も緩やかに増加し、2015〜2018年の売上高は年平均成長率(CAGR)10.64%で伸びる見込みだという。しかしベンダー各社は、今後もさまざまな問題に直面することになるだろう。

DRAM業界ではメーカーの統合も進む

 TechNavioによると、タブレット端末向けDRAMの世界売上高は、2014年には15億1000万米ドル規模だったが、2018年までには成長率9.3%で伸び、25億米ドル規模に達する見込みだという。また、出荷量(ビット換算)については、2013年には22億4000万ギガビット(Gb)だったが、2018年までには成長率35.3%で伸び、131億5000万Gbに達するとみられる。

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 TechNavioでインダストリーマネジャーを務めるNavin Rajendra氏によると、現在、タブレット端末向けDRAMの世界市場でも企業の統合が増加しているという。こうした傾向は、2018年まで続くとみられる。同氏は、「既存メーカーや新興企業が、新たな市場に参入したり、提供する製品の幅を広げていく上で、事業統合/買収が生じるだろう」と述べる。例えば、Micron Technologyは2013年7月、エルピーダメモリの買収を完了している。TechNavioによれば、Micronは当時、世界モバイル向けDRAM市場において第4位にランクインしていたが、世界第3位のエルピーダを買収したことによって、市場シェアを拡大することに成功した。

 TechNavioは、モバイル向けDRAM市場の主要ベンダーとして、Micronの他、Samsung ElectronicsとSK Hynix、Winbond Electronicsの計4社を挙げている。

 Rajendra氏は、「モバイル向けDRAM市場をけん引する要素としては、タブレット端末で使われるモバイル向けDRAMが増加していることや、製品の買い替えサイクルが短くなっていること、電子デバイスの小型化が進んでいることなどが挙げられる。また、技術の進歩によって、モバイル向けDRAMが、従来の用途の枠を超えてさまざまな新しい製品分野で広く利用されるようになったこともある。ベンダー各社がこのような変化を受け、製造プロセスにおいて最先端技術を適用することにより、さらなる高効率を実現する超小型DRAMの開発へとつながっていくだろう」と述べる。

価格の下落も

 しかし、さまざまな課題も存在する。例えば、ベンダー間の競争激化や需給差の拡大、開発期間の短縮も予想される。さらに、民生機器市場の中でもタブレット端末市場は、飽和状態に近いといえる。それでもTechNavioは、ヘルスケアや製造業などの他の分野でタブレット端末の普及が拡大していくという、楽観的な見方をしている。Rajendra氏は、「民生機器市場の成長は低迷しているものの、別の分野で大きな成長を実現する可能性がある。また、タブレット端末だけでなくゲーム機器も、モバイル向けDRAMの堅調な需要をサポートしていくだろう。また、スマートウオッチも、わずかながら需要増加に貢献するとみられる」と述べている。

 また同氏は、「その一方で、モバイル向けDRAMの販売価格は下落していくだろう。ただし、出荷数量の増加によって相殺できるとみている」と述べる。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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