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» 2015年01月23日 08時00分 UPDATE

徹底プレビュー「ISSCC2015の歩き方」(12):将来技術動向編:人類社会の明日に貢献する半導体チップ (1/2)

今回は、次世代の技術動向を紹介するセッションを見てみよう。風邪をひいたことを検出する腕バンドや、吐く息からがん疾患を発見する小型のガスクロマトグラフィー、磁性体スピンを利用して組み合わせ最適化問題を解く手法などがある。

[福田昭,EE Times Japan]

新しい市場の開拓を狙う半導体チップ

 ISSCCを構成するテーマ群の中で、研究寄り、言い換えると製品から遠いのが、「将来技術動向(テクノロジディレクション)」だろう。新しい市場の開拓につながる可能性のある半導体チップ、言い換えると既存の市場向けに開発されたものではない半導体チップが、このテーマに含まれる。

 研究寄りのテーマ、というだけでは抽象的で、何のことか分かりにくいかもしれない。講演セッションのサブテーマを見ていくと、やや具体的になってくる。テクノロジディレクションに含まれる講演セッションは3つある。「次世代システムを実現する将来技術」をサブテーマとするセッション16(2015年2月24日火曜日午後1時30分開始予定)と、「革新的な個人向け生体医療システム」をサブテーマとするセッション21(2月25日水曜日午前8時30分開始予定)、「IoT(Internet of Things)向けの安全で効率的な回路」をサブテーマとするセッション24(2月25日水曜日午後3時15分開始予定)である。

風邪による体調変化を検出する腕バンド

 セッション16(次世代システムを実現する将来技術)では、人体が風邪に罹患(りかん)したことを検知する腕バンドの講演に注目が集まる。東京大学と科学技術振興機構(JST/ERATO)、大阪大学の共同研究チームが開発した成果である(講演番号16.4)。太陽電池と圧電スピーカー、温度センサーを内蔵する。回路技術では、12V動作の有機材料による相補形式のFET回路を載せている。

 フランスのAsygnとフランスのApix Analyticsは共同でサブアトグラム(1アトグラムは10のマイナス18乗グラム)の質量変化を検知する計測技術に向けたNEMS(Nano Electronics Mechanical Systems)アレイ制御ICを発表する(講演番号16.5)。28nmのCMOS技術で製造した。

 韓国のSeoul National Universityを中心とする共同研究グループは、医療応用を想定し、カーボンナノチューブ(CNT)のセンサーとCMOSチップを組み合わせたセンサーアレイを報告する(講演番号16.6)。データ収集の周波数が2MHzのとき、消費電力は150mWである。

 この他、窒化ガリウム(GaN)を使った回路の研究成果が2件、報告される。米国のUniversity of Texasと米国のTexas Instrumentsは共同で、GaNのドライバFETを組み込んだマルチフェーズのDC-DCコンバータ技術を発表する(講演番号16.7)。フェーズ数は4相である。出力は20V、8.4W、スイッチング周波数は20MHz。米国のMassachusetts Institute of Technology(MIT)は、GaNベースの1GHz MMIC(モノリシックマイクロ波IC)を発表する。MEMSベースの発振器を内蔵した。

photo セッション16(次世代システムを実現する将来技術)の注目講演(クリックで拡大)
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