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1/fノイズの測定範囲を拡大、パワー半導体や超低周波領域での測定が可能にテスト/計測(2/2 ページ)

» 2015年02月06日 11時00分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]
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手振れ補正/イメージセンサーの特性評価にも

 次に、従来と比べて一段と低い周波数領域でのノイズ測定を可能とした。ノイズ測定が行える周波数の下限をこれまでの1Hzから大きく引き下げ、0.03Hz〜40MHzの広帯域測定を可能とした。デジタルカメラなどに搭載される手振れ補正用センサーやイメージセンサーなどにおいては、周波数が低い領域で低ノイズが求められており、これらデバイスの特性評価に有用となる。

 システムノイズも大幅に低減した。ノイズフロアは従来システムの−177dBV2/Hzに対して、E4727Aは−183dBV2/Hzを達成している。ノイズの振幅が平たんになるコーナー周波数も従来の10kHzに対して、20Hzを実現している。これによって、従来システムではアンプのノイズフロアに埋もれて測定できなかったような抵抗の1/fノイズ測定なども可能になるという。

E4727Aはシステムノイズを大幅に低減した。ノイズフロアは−183dBV2/Hzを達成、コーナー周波数も20Hzを実現した (クリックで拡大) 出典:キーサイト・テクノロジー

 PXIe規格に準拠したモジュール構造を採用したことも、これまでの測定システムとは異なる点だ。これまでは、直流電源装置やシグナルアナライザなどのボックス型測定機器、制御用PCおよびプローバなどを組み合わせて測定システムを構成していた。

 これに対してE4727Aは、制御モジュール(Embedded PC)やインタフェースモジュール、デジタイザなどが実装された「PXIeシステム」をベースとして、インプット/アウトプット/サブストレートといった「3種のモジュール」、テストフィクスチャおよびケーブル類で構成される。これとは別に用意した半導体パラメータアナライザ「B1500A」などの測定器と組み合わせて1/fノイズ・RTN測定を行うことになる。E4727Aと従来システムの同等機能を比べると体積比でほぼ1/5に小型化できるという。測定システムの小型化と同時に、プローバと測定器を接続するプローブ長もわずか20cmと従来の1/3で済むため、環境ノイズ耐性も向上した。

制御モジュール(Embedded PC)やインタフェースモジュール、デジタイザなどが実装された「PXIeシステム」(下段)と、インプット/アウトプット/サブストレートなどのモジュール製品(上段)

 E4727Aを用いて1/fノイズ測定を行う場合、作業者はトランジスタのゲート電圧など、被測定物を動作させるための条件を設定画面上で入力し、測定開始ボタンを押すだけで済むという。測定結果に大きな影響を及ぼすといわれている入力抵抗などの値はシステム側で自動的に設定される。入力抵抗/出力抵抗の値も従来は11値に分けられていたが、E4727Aでは25値に細分化され、より最適な値を選択することが可能になった。測定者が任意に値を設定することもできる。

「2分」が「40秒」に

 E4727Aは、測定時間の高速化も実現している。従来は1回の測定に2分程度必要だったが、E4727Aは約40秒で済み、ほぼ1/3に短縮することが可能となった。ウエハー上にある半導体チップは、作り込まれた場所の違いによってノイズ特性にバラツキが生じたり、温度環境によってもノイズ特性が違ったりする。このような全量検査を行う場合でも、測定時間を短縮したことで、テストの生産性を高めることができるという。

 E4727Aの価格(税別)は約2500万円からで、納期は最短で3週間を予定している。

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