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Amazon「Fire Phone」の失敗から、エンジニアが学べることビジネスニュース オピニオン(1/2 ページ)

満を持して投入されたAmazon「Fire Phone」ではあるが、業界内では「失敗」との見方も強いようだ。開発エンジニアは、製品開発コンセプトについて、Fire Phoneから何を学べるのだろうか。

» 2015年02月09日 11時30分 公開

 Amazonの「Fire Phone」は、失敗に終わったとする見方が多い。だが、Fire Phoneからは、エンジニアに向けた製品設計の“ベストプラクティス”に関する教訓を学ぶことができる。

 Fire Phoneが失敗とされる理由に関しては、これまで報道機関の間でもさまざまな臆測が飛び交ってきた。世界で最も成功を収めた企業の1つであるAmazonが新製品の市場投入に失敗したという事実に、だれもが驚いただろう。今回のことで、新製品を提供していく上で、あらゆる側面から正しく物事を進めるということがいかに難しいか、再認識することができたのではないだろうか。

ニーズをくみ取れなかった?

photo 「Fire Phone」(クリックで拡大)

 新製品の提供において失敗する確率は、特に複雑な技術を採用した製品の場合には非常に高く、約80%にも達する。製品開発を成功させ、失敗の可能性を最小限に抑えるためには、エンジニアは何をすべきなのだろうか。

 業界関係者の中には、AmazonのFire Phoneの場合、その初期設計に問題があったとみる者もいる。Fire Phoneは、消費者のニーズに対応した製品としてではなく、AmazonのCEO(最高経営責任者)であるJeff Bezos氏だけの意向に沿って開発された製品だというのだ。

 エンジニアは製品開発にあたり、初期要求が現実的なものであることを検証し、開発チームがコンセプトの段階から市場投入までを進んでいけるよう、当初の構想に忠実に従い続けていく必要がある。

 簡単なことのように聞こえるかもしれないが、ビジネス要件や製品要件を定義することは、製品開発において非常に難しい。いかなる場合でも、通常は、製品開発に関してさまざまな利害関係者が発言権を持ち、それぞれが最も重要な要素について異なる視点から主張する。しかし、今回のAmazonの場合は、CEOがすべてを握っていた。

 ビジネスケースが実際の要求事項に置き換えられ、さらに開発チームへと細分化されていくと、複雑性の度合いが増す。エンジニアが製品の作成に取り掛かり、あらゆる状況を把握して課題に取り組んでいく段階になると、協業体制が不十分であればその製品開発が失敗に終わる場合が多い理由がよく分かる。

 開発プロセスにおける負担を軽減し、最適な製品の提供を実現できるよう、エンジニアに向けて次の事項を提言したい。

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