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» 2015年02月18日 09時50分 UPDATE

新技術:頭蓋内の電極を無線でモニタリング、てんかん治療の負担減へ

スイス ローザンヌ連邦工科大学(EPFL)は、てんかんの治療向けに、脳内活動を無線でモニタリングする技術を開発中だ。電極とアンテナ、RFチップを頭蓋内に埋め込み、電磁誘導で電力を供給しながら、電極のデータを無線でモニタリングする。頭蓋内に埋め込んだ電極を記録装置に有線で接続している現在の手術を、大きく変える可能性がある。

[村尾麻悠子,EE Times Japan]

 スイス ローザンヌ連邦工科大学(EPFL:Ecole Polytechnique Federale De Lausanne)は2015年2月、脳に埋め込んだ電極をワイヤレスでモニタリングする、てんかん患者向けの技術を開発中だと発表した。

 WHO(世界保健機関)の統計によれば、てんかんの患者は世界に約5000万人。多くの患者は、けいれんを防止する薬を服用する治療を行っているが、効果がない場合は、外科手術を行わなくてはならないケースもあるという。外科手術は、頭蓋内に電極を埋め込んで、てんかん原性領域(てんかんの原因となっている脳の領域)を特定し、場合によってはその部位を切除するというもの。埋め込まれた電極は有線で記録装置に接続されているので、患者は、手術が終わった後も数週間にわたりベッドから離れることができず、負担を強いられることになる。

 今回、EPFLが開発を進めているのが、患者の脳内活動を高精度に無線でモニタリングできる小型電極だ。開発チームメンバーであるGürkan Yilmaz氏は、「現在は、直径10mmの電極が一般的に使われている。それに比べて、われわれが開発中の小型電極は直径が100μm以下だ」と説明する。小型化により、手術の際に神経を傷つけるリスクも減らすことができる。無線でモニタリングできるので、頭蓋を完全に閉じることができ、感染の防止にもなる。そのため、現在よりも長い時間モニタリングを行えるので、より精度よくてんかん原性領域を特定できる可能性もあるという。

photo EPFLが開発中の無線電極と、現在使われている有線の電極の比較(クリックで拡大) 出典:EPFL

 上の図にある通り、EPFLが開発中の方法では、電極とアンテナ、RFチップを頭蓋内に埋め込む。電極のデータは無線で外部の記録装置に転送される。頭蓋内のチップには電磁誘導によって電力を供給するという。Yilmaz氏は、「電極のデータはスマートフォンでも受信できる。ただ、セキュリティ上の懸念から、スマートフォンへのデータ送信は勧めない」と述べている。

 今後は、実用化に向けて実証実験を進めるとともに、電極のサイズを、ニューロン1個の活動を測定できるレベルまで最適化していくという。

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