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100人のクルマ通勤者が協力、ボルボが自動運転の実験を一般道路で実施センシング技術(2/2 ページ)

» 2015年02月25日 13時30分 公開
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3D地図との連携

 ただしこれだけでは、高性能なセンサーを多数搭載しているだけのことになる。このためそれを補完するのが、高精細なデジタル3D地図だ。標高や道路曲率、車線数、トンネルの形状、ガードレール、標識、出口など、車両の周辺環境に関するさまざまな情報を提供することができる。位置ジオメトリに関しては多くの場合、センチメートルレベルで測位可能だという。

 また、位置決め制御機能の1つである高性能GPS機能は、3軸加速度センサーや3軸角速度センサーと連携することで、さらなる性能向上を実現するという。各種センサーによって作成された360°画像と、地図画像を照合することにより、車両周辺のデータに基づいて現在位置情報を取得することが可能だ。

 さらに、V2V(車両間通信)接続を採用するため、センサーによって生成された車両周辺情報を補完することもできる。最新の交通状況や地図データに関しては、クラウドサービスを利用するという。Volvoのアクティブセーフティ担当技術スペシャリストであるEric Coelingh氏は、Web上で記者会見を行い、「車両位置情報システムは、一般的なGPSに比べてはるかに精度が高く、クラウド上で最新の地図データや交通データを提供することができる」と述べている。

 Coelingh氏は、「可能な限り高度な安全レベルを保証できるよう、ブレーキやステアリングシステム、制御コンピュータなどといった自動車関連のあらゆるシステムを冗長実装する」としている。しかし、例えば大雪や濃霧のような厳しい環境下における安全性については、どのように確保するのだろうか。

 これに対しCoelingh氏は、「システムでは常時、自己テストが行われている。センサーの検知機能が停止してしまった場合に、それを検知する必要があるためだ。このような緊急時には、ドライバーに警告を発信し、自動運転機能を解除する。最大の課題は、このようなシステムを常時稼働させることだけでなく、例外的な条件下でも対応できるようにすることだ」と述べている。

“普段通り”の交通状況下で行う

photo 画像はイメージです

 今回の試験は、大都市の普段通りの交通状況下に初めて大量の自動運転車を投入するという点で、他のメーカーがこれまでに行ってきた同様の試験とは異なっている。ただし、試験が実施されるのは、4車線以上の大きい幹線道路のみに限られるという。

 Volvoで研究開発担当シニアバイスプレジデントを務めるPeter Mertens氏は、「試験条件の1つとして、車線と車線との間に防壁を設置することも考えた」と述べている。試験の対象は主に通勤となりそうだ。一般のドライバーがこれほどの規模の実証実験に参加するのは、初めてのことだろう。ドライバーは四六時中、運転に集中する必要がなくなる。メールを確認したり、音楽に没頭したり、編み物なんかもできるかもしれない。

 無論、前提条件はある。「ドライバーが運転席に座っていて、しらふであることだ」(Mertens氏)。

 Volvoによる自動運転車の導入は、社会にどう映るのだろうか。Mertens氏は、「もうすぐ、都会で自動運転車を実用化できる可能性があるとは思っていない」と正直に述べている。代わりに、さまざまな用途を実証し、少しずつ導入していくことになるだろうと見ている。例えば、駐車サービスは次の段階の1つになるだろう。自動運転車を都市で導入することは、最終段階になる。Martens氏は、「自動運転は、革新になる」と語った。

【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】

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