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» 2015年04月02日 11時30分 UPDATE

センシング技術:顧客が困っているから――リニアテクノロジーが温度センサー特化型マイコン!? (1/2)

リニアテクノロジーは、同社製品として初めてCPUコアを搭載したICとして、あらゆる温度センサーのアナログ入力をデジタル温度データ化して出力する「LTC2983」を発売した。

[竹本達哉,EE Times Japan]

リニアテクノロジー初のCPU搭載製品

 リニアテクノロジーといえば、大手アナログ半導体メーカーであり、特に高性能アナログICのイメージが強い。その中で、2014年11月に発売した「LTC2983」は、リニアテクノロジーにとって“異色”の製品だ。

 2011年に買収した無線通信用LSIのDust Networksブランド製品を除けば、30年以上の歴史を持つリニアテクノロジーが初めてCPUコアを搭載した製品。CPUコアと共にA-Dコンバータなどの周辺機能を1チップ化した構成は、リニアテクノロジーのイメージとは懸け離れた“マイコン”だ。

 とはいえ、LTC2983の開発者であるMike Mayes氏は、「マイコン市場に参入するわけではない」という。

面倒な温度センサーの信号処理設計を簡単に

tt150402LTC001.jpg リニアテクノロジーでデザインエンジニアリングセクション リーダーを務めるMike Mayes氏

 Mayes氏の担当は、高性能A-Dコンバータ製品の開発であり、これまでに多くの高性能なデルタシグマ型A-Dコンバータを世に送り出してきたアナログエンジニアだ。ただここ2年ほどは「Mayes氏が手掛けた新製品が発売されず、名前自体も聞かず心配だった」(日本法人担当者)というほど、閉じこもって開発し、生み出したのがLTC2983だったという。

 「A-Dコンバータのユーザーを訪問すると、“温度センサーの検出処理に困っている”という声を多く聞いた。熱電対に、サーミスタ、測温抵抗体(RTD)、ダイオードなど多くの温度センサーが存在し、“その種類ごとに、A-Dコンバータを含めたアナログフロントエンド(AFE)回路を設計し直さなければいけず、面倒だ”という声があった。そうした顧客の悩みを解決するために、あらゆる温度センサーの信号を線形化しセ氏/カ氏温度単位のデジタル値として出力する製品として開発したのがLTC2983だ」とMayes氏は経緯を説明する。

tt150402LTC002.jpg 「LTC2983」のイメージ。温度センサーを直接つなげば、デジタル温度データとして出力される 出典:リニアテクノロジー

3つの高精度ADC、20チャンネルの入力

 そのため、LTC2983は、温度センサーからの信号処理に特化している点で、通常のマイコンと異なる。そして、マイコンでは周辺回路とされるA-Dコンバータなどのアナログ回路部分がリニアテクノロジーらしく、リッチであり、いわばLTC2983の主役だ。20チャンネルものアナログ入力を備え、センサーからのアナログ入力をデジタル化するA-Dコンバータとしては、24ビットという高分解能を備えた高精度デルタシグマ型A-Dコンバータを3つ内蔵している。

tt150402LTC003.jpg 「LTC2983」のブロック図 (クリックで拡大) 出典:リニアテクノロジー

 ただ、豊富なアナログフロントエンド(AFE)を備えるが、あらゆる温度センサーに1つのICで対応することは難しい。なぜなら、温度センサーの種類は実に多いからだ。

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