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窓ガラスが“透明スクリーン”に早変わり、フィルムを貼るだけ第25回ファインテック ジャパン

プロジェクタで映像を投影する際、白いスクリーンや壁が不要になるかもしれない。JX日鉱日石エネルギーは、ガラスに貼ると、スクリーンとして映像を映し出せるようになる透明フィルムを参考展示した。

» 2015年04月14日 09時00分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 JX日鉱日石エネルギーは、薄型ディスプレイ技術の総合展示会「第25回ファインテック ジャパン」(2015年4月8〜10日、東京ビッグサイト)で、透明でありながらスクリーンのように映像を映し出せるフィルム(スクリーン用透明フィルム)を参考出品した。

 通常、プロジェクタで映像を映し出す場合、白いスクリーンや壁などが必要になる。だが、このフィルムを窓などのガラスに貼り付ければ、市販のプロジェクタを使って、フィルムを貼った場所に映像を映し出すことができるようになる。同社によれば、コンビニやガソリンスタンドの窓ガラスに広告を出したいというニーズがあるという。

photophoto 左=ガラスに透明フィルムを貼り、映像を映し出しているデモ。右=フィルムはこのように透明で、非常に薄い(クリックで拡大)

 フィルムには、ナノサイズの特殊な粒子が練り込まれている。このナノ粒子にプロジェクタからの光を散乱させて、画像を生成している。JX日鉱日石エネルギーは、「これまでもスクリーン用のフィルムはあったが、ここまで透明なものはなかった。いずれもやや白く濁っていた」と説明する。

 現時点では製品化の時期は未定だが、このスクリーン用透明フィルムが実用化されれば、広告やエンターテインメントなどの分野で新しいサービスを提供できる可能性がある。

有機ELの光取り出し効率が1.5〜2.5倍に

 JX日鉱日石エネルギーは、有機EL照明の光をより取り出すために、独自の特殊加工を施したガラス基板も展示した。この加工は「コルゲート構造」と呼ばれ、1μm以下の疑似周期構造を基板に作り込んでいる。これによって光の全反射を抑え、光取り出し効率を向上させるという。コルゲート構造を施した基板(コルゲート基板)は、ガラス基板(サブストレート)とITOの間に形成するもので、JX日鉱日石エネルギーは、コルゲート基板+ガラス基板の組み合わせで提供することを目指す。コルゲート基板は、400×500mmのガラス基板(第2.5世代)まで対応可能だ。同社は、「有機EL素子の作り込みによって変わってくるが、コルゲート基板を採用することでだいたい1.5〜2.5倍ほど、光取り出し効率がアップする」と話している。

photophotophoto 左=コルゲート構造。中央=コルゲート基板を用いると、光取り出し効率がアップする。右=コルゲート基板は、あらゆる波長の光を、全方向に均等に取り出せるという(クリックで拡大)

 JX日鉱日石エネルギーは、このようなフィルムや基板など、同社が「機能化学品と呼ぶ分野の研究開発に力を入れている。「自動車の燃料ビジネスは踊り場にきているので、新しい分野に注力していく必要がある」(同社)。

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