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デジタル電源向けコントローラIC、高性能で消費電力を従来比1/5に低減電源設計 デジタル制御(1/2 ページ)

Microchip Technology(以下、マイクロチップ)は、デジタル電源向けデジタルシグナルコントローラ(DSC)ICとして、新たにdsPIC33EP「GS」ファミリを発表した。演算性能を高めるとともに、電力変換効率と応答性を向上した。消費電力は現行製品に比べて80%節減することが可能である。

» 2015年05月13日 14時00分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

 Microchip Technology(以下、マイクロチップ)は2015年5月13日、デジタル電源向けデジタルシグナルコントローラ(DSC)ICとしてdsPIC33EP「GS」ファミリを発表した。演算性能を高めるとともに、電力変換効率と応答性を向上した。消費電力は現行製品に比べて80%節減することが可能だ。コンピュータ機器や通信機器、産業機器、車載機器などのAC-DC電源やDC-DC電源などの用途に向ける。同社は、出力が100Wクラスの電源にも適用範囲を拡大できる製品と期待する。

 dsPIC33EP「GS」ファミリは、デジタル電源用途に特化した、DSP内蔵の16ビットマイクロコントローラICである。内蔵のフラッシュメモリ容量やパッケージの違いによって14製品を用意した。従来のDSCであるdsPIC33FJ「GS」ファミリに比べて、プロセスの微細化などによって、より高速な演算性能を実現している。

dsPIC33EP「GS」ファミリの外観

 dsPIC33EP「GS」ファミリの特長の1つは、電力効率や動的応答性を向上できる制御アルゴリズムを実装したことである。幅広い負荷変動に対しても高い電力効率が得られる適応制御アルゴリズムや、条件変化に対する動的応答性を高めた非線形予測アルゴリズムが用意されている。

 これらのアルゴリズムに加えて、処理性能を向上させるためにハードウェアの機能強化も図った。従来のdsPIC33FJ「GS」ファミリの処理性能が50MIPSに対して、dsPIC33EP「GS」ファミリは70MIPSを実現している。また、プロセッサコアは通常、1組のワーキングレジスタを内蔵しているが、dsPIC33EP「GS」ファミリは、3組のワーキングレジスタを内蔵した。ワーキングレジスタを2個追加したことで、優先度の高い特定のタスクを追加分に割り当てることが可能である。これにより、割り込み処理が発生しても、コンテキストスイッチングを瞬時に実行することができ、タスク切り替えによる遅延を最小限に抑えることができるようになった。

dsPIC33EP「GS」ファミリの機能ブロック概要 (クリックで拡大) 出典:マイクロチップ

 従来のように1組のワーキングレジスタであれば、割り込み処理が発生した場合に、優先度の低い処理を中断し、ワーキングレジスタに保存している内容を一旦、他のメモリに退避させて、割り込み処理が終われば元に戻して処理を続ける必要があるため、遅延が生じることがあったという。

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