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» 2015年05月18日 11時10分 UPDATE

ビジネスニュース 業界動向:IoTではLPWAネットワークが鍵、本格普及が始まる

モノのインターネット(IoT)時代に備えるためのネットワークとして、広域をカバーしつつ低消費電力の「LPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク」に注目が集まっている。フランスのSigfoxは、LPWAネットワークを提供していて、欧州の複数の国で採用されている。

[Jessica Lipsky,EE Times]

 IoT(モノのインターネット)で使われるセンサーノードの数は、将来的に数十億に達するといわれている。全てのノードに接続するために、携帯電話ネットワークに代わる低コストネットワークとして、800〜900MHz帯(サブギガバンド)を使う「Low Power Wide Area(LPWA)」ネットワークの導入が進むと予想される。2015年5月12〜13日に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された「Internet of Things World 2015」のパネルディスカッションでは、LPWAネットワークと競合する技術を手掛ける団体や企業の代表者が意見を交換した。

 同会議の参加者は、「LPWAネットワークはけん引力を強めているにもかかわらず、規格の策定は進んでいない」という点では意見が一致した。LPWAネットワークは、スマートシティから農業用地に至るまで、センサーを介して少しのデータを長期にわたって散発的に送信する必要のある場所の監視に役立つと予想される。

 IoTの普及を推進する「Wireless IoT Forum」のチェアマンを務めるWill Franks氏は、「LPWAネットワークは、抜本的な大改革をもたらす技術だ。LPWAのネットワークと機器のコストは、一般的な携帯電話ネットワークのコストの数分の1で賄える。非常に低いコストで膨大な数の機器を接続できる技術だ」と述べている。

 Samsung ElectronicsはInternet of Things World 2015の基調講演で、IoTモジュールファミリ「ARTIK」を発表した。SamsungのCSO(最高戦略責任者)は、フランスの新興企業であるWeenatがARTIKモジュールとLPWAネットワークを導入して土壌モニターを接続し、水利用を改善している方法を披露した。

 英国の市場調査会社であるMachina Researchの設立者/CEO(最高経営責任者)で、パネルディスカッションのモデレータを務めたMatt Hatton氏は、パネラーに対し、「LPWAネットワークを導入するのは、どういった企業か」という質問を投げかけた。

photo パネルディスカッションのパネリスト。左から、モデレータのMatt Hatton氏、IoTを手掛ける新興企業HeliumのCOOであるRob Chandhok氏、LoRa AllianceのHardy Schmidbauer氏、Sigfox USA ディレクタのLuke D'Arcy氏、Wireless IoT ForumチェアマンのWill Franks氏

Wireless IoT ForumチェアマンのWill Franks氏 まずは携帯電話事業者だろう。各社は近い将来必ず、LPWAネットワークや新たな標準技術を導入して、これら低消費電力で広域をカバーできるネットワークを、自社の携帯電話ネットワークと併用するようになるだろう。また、フランスのネットワークベンダーSigfoxが提供するようなプライベートネットワークもある。Sigfoxはサンフランシスコでネットワークを提供している。LPWAネットワークの選択肢は今後、増えることが予想される。

Sigfox USA ディレクタのLuke D'Arcy氏 Sigfoxは公共ネットワークのような技術を提供している。当社は、携帯電話ネットワークと並行して運用できるネットワークを構築したいと考えている。当社が目指すのは、携帯電話ネットワークのような従来のネットワークとの連携だ。携帯電話ネットワークを利用しているIoT企業の多くは、コストと消費電力を削減できる方法を見つけられたことを喜んでいる。

HeliumのCOOであるRob Chandhok氏 当社は、少し異なる手法を採っている。アドホックに特化するためだ。自分で選択したエリアで最も安定した通信を行える方法を探っていく。

モデレータのMatt Hatton氏 ネットワークの実装にはいくつか方法があるのでしょうか。

LoRa AllianceのHardy Schmidbauer氏 LoRa Allianceは、小規模のプライベートネットワークをサポートしている。ただ、こうしたプライベートネットワークは将来的には公共のネットワークになると見ている。ビジネスモデルも、さまざまなものがある。

Hatton氏 技術が断片化するというリスクはありませんか? CDMA対GSMの議論を展開する必要性はあるのでしょうか。

Franks氏 断片化はある。全てのユーザーがネットワークのメリットを享受するには標準化が絶対に必要だ。もちろん、こうした規格は、通信業界の誰もが実装できて、普及が加速するようなオープンなものでなければならない。サプライヤとディストリビュータの強力なエコシステムも欠かせない。こうしたエコシステムを構築できなければ、(LPWAネットワークの)実用化には長い時間がかかってしまうだろう。

D'Arcy氏 新興企業にとっては、標準化のプロセスにおいて何かするというのは難しい。ひたすら時間がかかるだけ、という場合が多いからだ。

Schmidbauer IoT市場を活性化するには、ある程度の規模が必要だ。LoRa Allianceは、この「規模」を作り出すべく、エコシステムの構築と規格の策定を進めている。異なるLPWAネットワーク間をローミングするためには、通信事業者にとっては標準化が絶対に必要だ。

Hatton氏 LPWAネットワークの本格的な実用化はいつごろになるでしょう。

D'Arcy氏 欧州では既に実用化が始まっている。Sigfoxの商用ネットワークは、フランス、スペイン、ポルトガル、英国で導入されている。米国でも今後1年から1年半程で導入されていくだろう。機器メーカーが開発を始めるタイミングは、まさに今だろう。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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