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Industry4.0に向けた製品戦略を加速、リファレンスデザインで開発支援ビジネスニュース 企業動向(2/2 ページ)

» 2015年06月04日 13時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]
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Industry4.0のコンセプトを具現化

 Industry4.0などさまざまなスマートファクトリのコンセプトを具現化するためには、「システム全体のインテリジェント化を一段と進めていく必要がある」とShieh氏は話す。そのためには、小型化してより多くのセンサーをシステム内に組み込まなければならず、大量のセンサー情報を処理するためのコンピューティングパワーも要求されることになる。つまり、「システムに実装されるセンサーや現場でデータ処理を行うためのPLCは、小型かつ低消費電力を実現しなければ対応することが難しくなる」との見方を示した。

 こうした中で同社は、独自のアナログ半導体技術をベースに、電力効率の高い各種電源ICや基準電源IC、8回路デジタル入力トランスレータ/シリアライザ、オペアンプ、近接センサーIC、光センサーIC、IO-Linkトランシーバ、認証用IC、セキュアマイクロコントローラなど、集積度が高く電力消費が小さい半導体製品を提供している。また、これらを用いたさまざまなリファレンスデザインも用意している。

「世界最小のPLC」

 同社は、これらリファレンスデザインを組み合わせた「Micro PLCプラットフォーム」も、営業提案用デモツールとして準備している。手のひらサイズの形状に25のI/Oチャネルを備えており、「Maximの技術を用いて作られた世界最小のPLC」と主張する。入出力回路ブロックをディスクリートで構成していた従来のPLCに比べて、「I/O処理性能は70倍と高速で、形状は1/10に小型化することができる」(Shieh氏)という。もちろん消費電力が小さく、発熱量も少ないため、冷却用ファンを装着できない用途などにも有用である。

 記者説明会では、Maximで用意したアナログI/OユニットやデジタルI/Oユニット、IO-Linkユニットといったリファレンスデザイン、およびMicro PLCプラットフォームを使ったデモ展示も行った。特に、Industry4.0を体現する完全自動組み立てライン「Beer Mug Factory」は、日本で初公開となる。この他、異なる色を検出するデモや、近接センサーによる物体検知のデモなども行った。

Beer Mug Factoryは、3×1.5mのスペースに、Industry4.0を体現するデモ用の完全自動組み立てラインを構築した。タブレット端末からマグカップの色やマグカップに印刷する文字を入力すると、そのデータが無線LANでMicro PLCに送られる。Micro PLCから送られた作業指示に基づいて、RGBセンサーで認識したマグカップをロボットがハンドリングし、印字する位置を決めて印刷、乾燥など、一連の作業を自動で行うことができる(左)。右はライトセンサーとIO-Linkユニットなどのリファレンスデザインを用いて色識別を行うデモの模様

日本にとって重要なIndustry4.0

Maximのバイスプレジデントで、マキシム・ジャパンの社長を務める滝口修氏

 Maximのバイスプレジデントで、マキシム・ジャパンの社長を務める滝口修氏は、「Industry4.0に向けた戦略は、当社の半導体事業にとっても、日本市場における戦略を推進していくうえでも重要なことである」と話す。1つはFA市場あるいはPLC市場において世界的に影響力を持つ有力ベンダーが日本に存在するからだ。「事業の拡大に向けて日系ユーザーからの受注獲得は欠かせない」という。もう1つは次世代製品の開発につながる情報収集である。「日系企業は製品の品質や性能、機能に対する要求が厳しい。このことは、当社がこれから革新的な製品を開発していくうえで、重要な情報となる」(滝口氏)と述べた。

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