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大容量キャパシタ市場、2015年度は前年度比40.1%増の136億円へ しかし「日系メーカーの影は薄い」自動車用途がけん引か

矢野経済研究所は2015年7月、国内大容量キャパシタ市場の調査結果を発表した。調査結果によると、2015年度は前年度比40.1%増の136億5600万円と予測。2016年度以降も需要開拓が進み、2018年度は200億円を超す規模に成長すると予測を示した。しかし、世界市場と比べると日本市場は需要用途が限定され、日系メーカーの影は薄いという。

» 2015年07月07日 09時30分 公開
[庄司智昭EE Times Japan]

 市場調査会社の矢野経済研究所は2015年7月、国内大容量キャパシタ市場の調査結果を発表した。調査結果では、300F(Farad)以上の容量帯の電気二重層キャパシタ(以下:EDLC)が市場をけん引し、2015年度は前年度比40.1%増の136億5600万円と予測した。

自動車用途での需要拡大

 市場をけん引する300F以上のEDLCで最も構成比率が高いのは自動車用途。2014年度は数量全体の4分の3を占める。この傾向は今後も続き、アイドリングストップシステム向けを中心に需要拡大が期待されるという。しかし、同時に低価格化も進行する見通しだ。

 リチウムイオンキャパシタ(LiC)も用途開拓が進み、多くの需要分野での新規採用が進むとみられている。「LiCで先行する日系メーカーでは需要拡大の手応えをつかんでいるようだが、どの分野に需要があるかはまだ顕在化していない」(同社)と語る。

 2016年度以降も300F以上のEDLCとLiCの需要開拓が進み、市場は順調に拡大する見通し。2018年度の大容量キャパシタ市場は200億円の規模に成長するという。(図1)

図1:大容量キャパシタ市場規模推移・予測。2014年度の市場もEDLCで拡大が続き、LiCも高い伸びを示したので、前年度比18.0%増の97億5000万円となっている 出典:矢野経済研究所

 同社は、「日本の市場は拡大傾向にあるが、世界市場と比べると日本市場は需要用途が限定され、規模も小さい。今後、自動車向けに新規採用が続けば、日本市場も確立されるが、その兆しは見えてこない」(同社)と語る。また、日系キャパシタメーカーで目立った海外進出の事例は見られず、世界市場における日系メーカーの影は薄いという。

 同調査は、矢野経済研究所がキャパシタメーカー及びキャパシタ原材料メーカーなどを対象に2015年4〜6月に実施したものである。大容量キャパシタ市場は、電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double-Layer Capacitor)とリチウムイオンキャパシタ(LiC:Lithium-ion Capacitor)を合算し、算出。大容量キャパシタは、ボタン電池形状のものを除いた、静電容量が1F以上で、セル形状が捲回型(円筒型)や積層型(角缶型)、ラミネート型のキャパシタを指している。

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