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薄膜CIGS太陽電池で変換効率25%を目指す、欧州のプロジェクト中国製品と同レベルの低コストで(1/2 ページ)

欧州のプロジェクト「Sharc25」では、単接合型の薄膜CIGS太陽電池で変換効率25%を目指している。変換効率では、まだシリコン系太陽電池にはかなわない化合物系太陽電池だが、Sharc25に資金を投入するスイスの研究所は、その将来性を見込んで積極的に投資していくという。

» 2015年07月09日 12時00分 公開
[R Colin JohnsonEE Times]

 欧州の8カ国のパートナー企業11社で作るコンソーシアムは、「Sharc25(Super-high efficiency CIGS thin-film solar cells)」プログラムの下、エネルギー変換効率25%のシリコン太陽電池に匹敵する、単接合型の薄膜CIGS太陽電池の開発に取り組んでいる。シリコン太陽電池に代わる太陽電池として、安価だがエネルギー効率の低い中国製品と同じくらいの低コスト生産を目指す*)

*)関連記事:太陽電池、これまで10年これから10年

 現在最もよく使われている単結晶シリコン太陽電池の変換効率は、最高で25%である。最先端の設計では、理論的な限界とされる33%に近い変換効率を達成したという報告もある。

 一方、中国メーカーが好むような、低コスト太陽電池メーカーの安価な薄膜太陽電池は、エネルギー変換効率がかなり低い。こうした中、日本の産業技術総合研究所や、太陽光発電技術研究組合(PVTEC:Photovoltaic Power Generation Technology Research Association)、シャープ、パナソニック、三菱重工業などの研究者らが2015年5月、共同で、変換効率が13%を上回る3接合型シリコン薄膜太陽電池を発表した(参考資料:Applied Physics Letters)。

 Sharc25プロジェクトは、EU(欧州連合)の「Horizon 2020」プログラムとスイス連邦材料試験研究所(Empa)から690万米ドルの資金提供を受け、バーデンヴュルテンベルク州太陽エネルギー水素研究センター(ZSW:Solar Energy and Hydrogen Research Baden-Wurttemberg)と連携して実施されている。

 Empaの薄膜太陽光発電研究所の所長とSharc25の科学コーディネータを務めるAyodhya Tiwari氏は、EE Timesに対し、「われわれが手掛ける太陽電池は、ウェアラブル機器などの小型デバイスにも搭載できる。しかし、われわれが特に関心を持っているのは、ビルや太陽光発電所に向けた実用規模の大規模発電だ」と語った。

photo Empaで太陽電池を開発するPatrick Reinhard氏とBenjamin Bessig氏 出典:Empa
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