省エネのスパコン世界ランク、日本がTOP3を独占：開発を手掛けたのは社員約20人のベンチャー企業

　スーパーコンピュータ（以下、スパコン）の消費電力性能を競う世ランキング「The Green 500」が2015年8月に発表され、日本のベンチャー企業のPEZYグループが開発する計3システムのスパコンがTOP3を独占した。

　1位となったのは、理化学研究所に設置されている「Shoubu（菖蒲）」だ。消費電力あたりの性能は7031.58MFLOPS/W、総電力は50.32kWである。

　2位は、高エネルギー加速器研究機構（以下、KEK）に設置する「Suiren Blue（青睡蓮）」で、性能は6842.31MFLOPS/W、総電力は28.25kW。

　3位もKEK設置の「Suiren（睡蓮）」となり、性能は6217.04MFLOPS/W、総電力は32.59kWとなっている。いずれも、PEZYグループが開発したシステムだ。

約20人という少数精鋭の技術集団

　PEZYグループがスパコンを開発したのは、約1年3カ月前。大学や大企業が開発を進めるのが一般的であるスパコンにおいて、わずかな期間でベンチャー企業がTOP3を獲得したのは、開発者約20人という少数精鋭で性能の向上を追求した背景がある。

　独自に開発されたフッ化炭素による液浸冷却技術が、従来の空気を利用した技術よりも高い冷却性能とシステムの小型化を実現。高密度で高集積なメニーコアプロセッサが、高性能化と低消費電力化を実現させた。

　The Green 500は、世界で最もエネルギー消費効率（1W当たりのFLOPSで算出）の良いスパコンシステムを年に2回定期的にランク付けし、評価するプロジェクトである。