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ニコンが展望する10nm以下のリソグラフィ技術(前編)SEMICON West 2015リポート(2)(2/3 ページ)

» 2015年08月11日 11時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]

10nm世代の量産歩留まりを左右する重ね合わせ誤差

 10nm世代にArF液浸露光技術を適用する場合、2つの大きな課題があるとRenwick氏は指摘する。1つは「EPE(Edge Placement Error)」、もう1つは「コストの急増」である。始めはEPEについて考える。なおEPEとはレイアウト・パターンと実際のレジスト露光パターンのずれ(誤差)を意味する。

 10nm世代のモデルケースとして、44nmピッチの直線で平行な金属配線パターンを自己整合ダブルパターニング(SADP)技術とカットマスクで形成する場合を考える。このとき、最適条件でのEPEは、9カ所の配線カッティング箇所で3nm未満に抑えられた。非常に良好な成績である。

 ただし、露光装置(スキャナー)でEPEを発生させる全ての要素について考えると、9カ所のカットに関してEPEは最大6nmと大きくなる。ここでEPEの大きな部分(3nm)を占めるのが、オーバーレイ(重ね合わせ)誤差である。このオーバーレイ誤差が5nmを超えるようになると、半導体デバイスの量産に支障が出てくる。

10nm世代のモデルケース。44nmピッチの直線状で平行な金属配線を形成し、複数の箇所でカットする場合を考える (クリックで拡大)
最適条件での誤差量(EPE)。3nm以下に抑えられた。最小のカッティング寸法が28nmなので、誤差は約10%以下になる (クリックで拡大)
露光装置(スキャナー)全体での誤差量(EPE)とその要因別割合。オーバーレイ(重ね合わせ)誤差が大きな割合を占めることが分かる (クリックで拡大)
オーバーレイ誤差(第1層金属配線層)の影響。オーバーレイ誤差が増加すると絶縁膜に加わる電界強度が増加し、長期信頼性(TDDB寿命)が保てなくなる。オーバーレイ誤差は5nm以下にしておく必要がある (クリックで拡大)

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