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» 2015年09月04日 09時00分 UPDATE

3次元構造のナノ多孔質グラフェンを応用:EVの走行距離が500kmに!? 新リチウム空気電池 (1/2)

東北大学の陳明偉教授らは、3次元構造を持つナノ多孔質グラフェンを用いることで、大容量の蓄電と耐久性の向上を可能とする「リチウム空気電池」の開発に成功した。実験結果から試算すると、1回の充電で電気自動車(EV)が走行できる距離は500km以上とみられている。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

 東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の陳明偉教授らの研究グループは2015年9月、3次元構造を持つナノ多孔質グラフェンを用いることで、大容量の蓄電と耐久性の向上を可能とする「リチウム空気電池」の開発に成功したことを発表した。実験結果から試算すると、1回の充電でEVが走行できる距離は500km以上とみられている。

新たな二次電池「リチウム空気電池」

 新たな二次電池として注目されるリチウム空気電池は、リチウム金属、電解液と空気のみで作動し、電気容量はリチウムイオン電池の5〜8倍を実現することができる。陳教授らはリチウム空気電池に注目し、2012年にナノ多孔質金を用いたリチウム空気電池の論文を発表した。このリチウム空気電池は、単位触媒重量あたりの電気容量が300mAh/g(一般的なリチウムイオン電池は150mAh/g)で、EVに搭載した場合に、1回の充電で270km(同160km)を走行することができるという。しかも、ナノ多孔質金を用いたリチウム空気電池は100サイクルの充放電が可能なことを示した。

 これまでの研究では、高い電気伝導性が得られ、空隙率が99%のナノ多孔質グラフェンを正極として用いることで、現行のリチウムイオン電池に比べて30倍以上(8300mAh/g)の電気容量を持つ電極材料を開発していたが、充電時の過電圧が極めて高くエネルギー利用効率が50%程度にとどまるなど課題もあった。

tm_150903tohoku01.jpg リチウム空気電池とその予想されている反応メカニズム。左上はリチウム空気電池の動作原理。右上はコイン型電池を用いた実物大のリチウム空気電池の外観。下はナノ多孔質グラフェン電極上の化学反応の様子と表面で行われているとされる化学反応式 (クリックで拡大) 出典:東北大学

100回以上も安定して作動

 今回の研究では、大きな電気容量を持つ炭素材料に、少量のルテニウム系触媒を添加した。これにより、電極自体が持つ大きな比表面積、空隙率や電気伝導性を損なわずに、大きな電気容量(2000mAh/g)と充電電圧(4.0V以下)を同時に実現することができた。合わせて、エネルギー利用効率は72%に向上し、100回以上も安定して作動する空気電池の開発に成功した。

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