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» 2015年09月07日 10時00分 UPDATE

商業施設などで通信容量低下を防ぐ:5Gの通信容量を2倍に、富士通研究所らが開発

富士通研究開発中心有限公司と富士通研究所は、5G(第5世代移動通信)システム向けに、同一セル内で従来の2倍の通信容量を実現することができる無線通信技術を開発した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

 富士通研究開発中心有限公司と富士通研究所は2015年9月、5G(第5世代移動通信)システム向けに、同一セル内で従来の2倍の通信容量を実現することができる無線通信技術を開発したことを発表した。2023年ごろの実用化を目指す。

 通信の大容量化に対応できる技術の1つとして、無線基地局1個でカバーできる範囲を狭くして、異なる多くのエリアで同一の無線周波数を使用するスモールセル化技術がある。ところが、この技術のみで対応するのは現実的ではないといわれている。これとは別に、通信容量を改善する方法として、同一周波数で無線信号の送信と受信を同時に行う全2重通信方式がある。しかし、この方法も送信信号が受信側に漏れるため、それを低減するための対策が必要になるという。

tm_150904fujitsu01.jpg スモールセル化技術のイメージ (クリックで拡大) 出典:富士通研究所
tm_150904fujitsu02.jpg 全2重通信時に送信信号が漏れ込むイメージ (クリックで拡大) 出典:富士通研究所

送受信分離型の全2重通信技術

 そこで今回は、送受信分離型の全2重通信技術を開発した。同一セル内にある端末機器への送信と受信を、それぞれスモールセル無線基地局(SBS:Small Cell Base Station)とマクロセル無線基地局(MBS:Macro Cell Base Station)に分担させる基地局送受信分離構成とし、基地局間や端末機器間の干渉を低減した。併せて、全2重通信を実現するための端末機器スケジューリング技術も開発した。

tm_150904fujitsu03.jpg 今回開発した基地局送受信分離型全2重通信方式のイメージ (クリックで拡大) 出典:富士通研究所

 具体的には、同一スモールセル内にある端末機器が、同一周波数を使用して通信する場合に、相互干渉が少ない2つの端末機器を選択する。その上で、無線品質を確保し、同時に同一周波数を使っている他の端末機器に対して、干渉劣化を最小限に止めるよう送電電力値を制御する仕組みである。

 併せて、全2重通信を実現するための端末機器スケジューリング技術も開発した。「下り信号を受信する端末機器」、「上り信号を送信する端末機器」、「端末機器の送信電力」について、それらの組み合わせを決めるための演算処理を行う。端末機器の組み合わせや、最適な送信電力を求めるためのアルゴリズムを新たに開発したことで、その処理量は全体で約1/40に低減することができたという。

 今回の開発成果を、システムレベルでシミュレーションした結果、これまでの半2重通信と比べて、1個のスモールセルにつき最大で約2倍の通信容量を実現することが可能なことを確認した。この技術をショッピングモールやスタジアムなど、局所的にユーザー数が増大する無線環境で活用することにより、通信容量の低下を抑えることができるとみている。

 今回の研究成果は、2015年9月6日から米国ボストンで開催される国際会議「VTC2015-Fall(Vehicular Technology Conference 2015)」で発表する。

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