Wearable Tech Expo in Tokyo 2015では、複数のメーカーがスマートグラスを展示していた。民生用途ではなく産業用途が多いのが特徴的だった。
東芝は、2015年度中の発売を目指しているスマートグラスを展示した。これまでさまざまな展示会で披露してきたのはプロトタイプだったが、Wearable Tech Expo in Tokyo 2015で初めて、量産型に近いものを展示したという。東芝独自の「内面反射方式」を採用し、本体の重さを50g以下に抑えた点が最大の特長だ。内面反射方式は、レンズに特殊な加工を施し、映像(情報)を投影しつつ、正面からの光も通すというもの。視野が狭くならないというメリットがある。
このスマートグラスは、作業手順の表示や、倉庫でのピッキング作業の指示、遠隔作業支援などの用途に向ける。東芝は、スマートグラスを開発するに当たり、当初から産業向けを目指してきた。Googleが「Google Glass」の一般販売を中止したことから分かるように、民生用途のスマートグラス市場は、まだ土壌が整っていない。東芝の担当者は、「2つの理由が考えられる。1つはプライバシーの問題だ。スマートグラスをかけて何かを撮影する場合の法規制がまだ整っていない。2つ目は、(iOSやAndroidのように)オープンプラットフォームではないということだ。スマートグラスのようなウェアラブル端末は、オープンプラットフォームとしてアプリなどがこぞって開発されなくては市場として盛り上がらない」と述べる。
反対に、産業用途ではユースケースが限定されるので、少なくともプライバシーに関わる問題は減る。東芝によれば、実際、産業用途向けのスマートグラスは引き合いが強いという。「この1年で約300社から問い合わせをいただいた」(東芝)。
ブリリアントサービス(Brilliantservice)が手掛けるスマートグラスプラットフォーム「mirama One」も、遠隔作業支援や医療といった産業用途をターゲットとしている。同プラットフォームは、ARスマートグラス、SDK(ソフトウェア開発キット)、独自の「mirama OS」を搭載した小型コンピュータなどで構成されている。mirama Oneのスマートグラスは、VuzixのARスマートグラス「STAR 1200」をベースにしたものだ。ジェスチャ認識に特化していることが最大の特長で、内蔵の赤外線センサーを使い、手や指の動きを識別する。例えば、mirama OneとディスプレイをWi-Fiで接続し、ディスプレイ上にアイコンをARで表示させ、ジェスチャを使ってそのアイコンを押す、といった使い方が可能になる。
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