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ルネサスが米国でDevConを開催、その理由とはRenesas DevCon 2015(2/2 ページ)

» 2015年10月13日 15時00分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]
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ルネサスに対する懸念を払拭

EETJ 2014年9月と2015年1月に、東京と大阪でDevCon Japanを開催していますが、日本で行うDevConとはどの辺りが異なりますか。

高橋氏 2014年の東京でのDevConは、ちょうどルネサスが構造改革を行っているさなかでした。そのため、顧客に対して、“これからルネサスがどういう方向に向かうのか”というのを示すのが一番の目的でした。ですので、新製品も紹介しましたが、それよりも、ルネサスの技術は健在だし、将来に対してもいろいろと投資をし始めているということを見せる方が重要でした。特に日本市場の顧客には、ルネサスを心配する声が多かったので……。

 東京のDevConでは、より安心していただくために、VIPだけを招いて(当時のルネサスの状況を)説明するという場も設けました。結果的に、ルネサスに対する懸念を払拭(ふっしょく)してもらうことには成功したと思います。

 2014〜15年にかけていろいろな研究開発に投資してきました。それで芽が出てきたのがSynergyやADAS(先進運転支援システム)などの分野です。こうした新しいソリューションやアプリケーションを見ていただく。これが大阪でのDevConの狙いでした。

EETJ 米国の市場について教えてください。2014年11月に「electronica 2014」(2014年11月11〜14日、ドイツ・ミュンヘン)に出展した際は、欧州ということもあり、インダストリー4.0(Industrie 4.0)や車載を意識したものが多かったと思います。米国では、このような特徴的な市場はありますか。

高橋氏 やはりIoT、それもICT(情報通信技術)を中心にしたIoTだと思います。欧州は、どちらかというと“製造業のためのIoT”あるいは“クルマのためのIoT”という捉えています。“IoT市場”というのを大きな視点で見るとほぼ同じに見えるのですが、“作法”が違うと言えばいいのでしょうか。米国だと、通信プロトコルやクラウド、ビッグデータといったIT系・情報系の分野から動きが始まります。一方で欧州では工場の生産性や柔軟性を向上するにはどうすればよいか、というモノづくりの観点からIoTの概念が生まれています。

 ただ最終的には同じものを目指しているので、ルネサスとしても全方位に対応できる製品をそろえていく必要があります。

顧客層の広がりに応える

EETJ Synergyですが、これは米国(=REA)発だったのですね。ルネサスにとってどのような製品になっていくのでしょうか。

高橋氏 Synergyは、マイコンにOSとライブラリをのせ、ワンストップで提供します。簡単に開発できるようWeb上にセットして、マニュアルもオンラインで用意し、見やすくなりました。IoTがこれから広がっていく中で、これまではわれわれの顧客ではなかったような人たちも、どんどん顧客になっていくであろうと考えています。そうした中、Web上で開発環境を用意し、経済的な障壁をなくすこと。ライブラリを充実させることで、ユーザーが自分のアプリケーションだけに特化して開発できること。これができるようになります。言い過ぎかもしれませんが、スマートフォンのアプリ開発のようなイメージでIoT機器を作れるようになる、というところを目指す必要があると思っています。

 DevCon 2015の開催時期が“今”なのも、Synergyの準備が最高潮に達したタイミングだからです。

※Renesas DevCon 2015リポート

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