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» 2015年10月15日 09時00分 UPDATE

次世代磁気メモリ開発の新たな指針:磁気渦の生成や消去の制御を「応力」で可能に (1/2)

理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター創発デバイス研究チームで、客員研究員の新居陽一氏らによる共同研究グループは、微小な磁気渦(スキルミオン)を力学的に生成したり、消滅させたりすることができる新手法を発見した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

微小な磁気渦「スキルミオン」

 理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター創発デバイス研究チームで、客員研究員の新居陽一氏らによる共同研究グループは2015年10月、微小な磁気渦(スキルミオン)を力学的に生成したり、消滅させたりすることができる新手法を発見したことを発表した。極めて消費電力が小さい次世代磁気メモリデバイスへの応用が期待される。

 今回の共同研究は、新居氏の他、理研 創発物性科学研究センター創発デバイス研究チームのチームリーダーを務める岩佐義宏氏、強相関量子構造研究チームの特別研究員を務める中島多朗氏、創発物性科学研究センターのセンター長を務める十倉好紀氏、総合科学研究機構(CROSS)でグループリーダーを務める大石一城氏、及び部長を務める鈴木淳市氏らの研究グループが行った。

ユニバーサルメモリを実現できる可能性が高い

 スキルミオンは、渦状の構造をもった磁気配列の状態を指し、磁気渦のサイズは数ナノから数百ナノである。一度生成されると比較的安定な粒子として存在し、極めて小さな電流や温度勾配によって動かすことが可能である。理論的には、スキルミオンの生成や消滅に必要となる時間は短く、高速動作が可能であると予測されている。スキルミオンを応用すれば、超高密度で低消費電力、不揮発、高速動作といった特長を兼ね備えたユニバーサルメモリを実現できる可能性が高いとみられている。

tm_151014riken01.jpg ナノサイズのスキルミオンの模式図とスキルミオンを用いた磁気メモリの概念図 出典:理化学研究所

応力でスキルミオンの制御に成功

 共同研究グループは、「応力」という、これまで他の研究グループが行ってきた磁場や電流、熱などの外場とは異なる手法を用いて、スキルミオンの制御に成功した。具体的には、マンガン(Mn)とケイ素(Si)の合金(MnSi)に対し、応力を変化させながら振動磁場を加えたり、中性子を照射したりするなどして磁気的性質を調べた。この結果、応力が数十MPa(メガパスカル)で、スキルミオン相を生成、あるいは消滅させることが可能なことが分かった。スキルミオン1個の生成・消滅に必要なしきい応力は1〜10μg程度である。この値は、汎用走査型プローブ顕微鏡のカンチレバー先端を物質に押し付けることで、単一スキルミオンの消去も可能となるしきい応力である。

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