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ルネサスがPLCソフトモデムソリューション世界の電力線通信(PLC)規格に1チップで対応

ルネサス エレクトロニクスは、電力線通信(PLC:Power Line Communication)用LSI「R9A06G037」を開発した。2016年2月よりサンプル出荷を始める。世界各国/地域や電力会社で異なるPLC規格に対し、ソフトウェア変更で対応することが可能である。

» 2015年10月22日 12時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

 ルネサス エレクトロニクスは2015年10月、電力線通信(PLC:Power Line Communication)用LSI「R9A06G037」を開発し、2016年2月よりサンプル出荷を始めると発表した。世界各国/地域や電力会社で異なるPLC規格に対し、ソフトウェア変更で対応することができる。スマートメーターやHEMS(Home Energy Management System)機器などの用途に向ける。

 R9A06G037は、PHY層の処理を行うDSP部の動作周波数を高速化するとともに、PLC処理に適した専用命令を追加している。内蔵SRAMの容量も増やした。これにより、通信用ソフトウェアの処理性能を大幅に向上することができた。現行の通信ソフトウェア規格である「G3-PLC」及び「PRIME1.3.6」に対して、PLC特有のノイズ検出、除去及び誤り訂正の機能を強化している。

R9A06G037と同LSIを搭載したリファレンスボードの外観

 また、次世代のPRIME規格である「PRIME1.4」の8チャネル同時サポートにも対応することが可能である。この他、内蔵しているLDO(低損失レギュレータ)及びDC-DCコンバータを使い分けることで、電源からのノイズ干渉を低減したり、アナログフロントエンド回路のノイズ耐性を向上したりすることが可能である。

 R9A06G037は、ソフトモデムベースのPLCソリューションである。このため、すでに標準化された既存の規格だけでなく、これから標準化される規格へのアップデートにもソフトウェアを変更することで対応可能となる。例えば、メーター間と屋内のNAN(Neighbor Area Network)など、新たに2系統の通信接続が必要になっても、ソフトウェアを変更すれば1チップで対応できるという。R9A06G037のサンプル価格(税別)は700円である。

 R9A06G037を搭載したリファレンスボードも用意した。接続したPC画面上から通信に必要なプロトコルスタックや周波数帯域を選択すれば、その通信状況を観測/解析することが容易に行えるという。これによってPLC対応機器の開発期間を短縮することが可能となる。

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