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スマホからIoTへ舵を切るMediaTekの次の戦略M&Aも示唆

ファブレス半導体メーカーのMediaTekは2015年10月28日、日本で初となる事業戦略の説明会を東京都内で開催した。従来のモバイル事業に注力しつつも、スマートフォン市場の成長の鈍化に伴い、IoT向けの製品展開やM&A、ベンチャー企業への出資を行っていくことを示唆した。

» 2015年10月29日 15時00分 公開
[庄司智昭EE Times Japan]

スマホ市場の成長率は8〜10%に

メディアテックジャパンのジェネラルマネジャーである櫻井義孝氏

 ファブレス半導体メーカーのMediaTekは2015年10月28日、日本で初となる事業戦略の説明会を東京都内で開催した。台湾本社からVice President兼IoT部門のジェネラルマネジャーであるJC Hsu氏と無線通信部門の副ジェネラルマネジャーであるMartin Lin氏、メディアテックジャパンのジェネラルマネジャーである櫻井義孝氏が登壇。モバイル事業、IoT戦略、国内事業に関する説明が行われた。

 櫻井氏は、「MediaTekのモバイル市場におけるグローバルシェアは約30%にも及ぶ」と語る。2015年のLTE向けチップセットの出荷数は、1億5000万個。出荷数の80%は中国メーカー向けだが、ハイエンド端末分野や中国、発展途上国向けに成長の余地はあるとしている。今後は、モバイルプロセッサ「Helio」シリーズのポートフォリオ拡大や、リアルタイムオートフォーカスに特化したマルチセンサー「Imagiq」の展開で、引き続きモバイル事業に注力していくという。

 しかし、一方でスマートフォンの市場成長は鈍化する傾向にある。市場調査会社であるIDTの調査によると、2014年に27.6%だったスマートフォン市場の成長率は、2015年は11.3%になる。Martin Lin氏も、「スマートフォン市場の成長率は今後、8〜10%になるだろう」と語る。そこで、MediaTekが次に狙う市場は、IoTである。

IoT/自動車分野のM&Aも示唆

 IoT部門のジェネラルマネジャーのJC Hsu氏は、「IoTは今後、ウェアラブル、スマートホーム、コネクテッドカ―などさまざまな市場に活用されていく」と語る。MediaTekは、今まで培ってきたIPやモバイルでの技術を生かしていきたいとしている。例えば、モバイル端末に搭載されてきたソフトウェア・ハードウェア、小型かつ低消費電力のチップセット、Wi-FiやBluetooth、LTEなどのコネクティビティにおける技術だ。

「IoTはウェアラブル、スマートホーム、コネクテッドカ―などさまざまな市場に活用されていく」とJC Hsu氏は語る (クリックで拡大)

 また、JC Hsu氏はIoTにおけるMediaTekの果たしたい役割として3つを挙げる。1つ目は、「Orchestrate」。顧客や開発者、サードパーティーなどに対して開発しやすい環境を提供していくことである。2つ目は、「Focus」。製品開発の分野を拡大を行ってくことを挙げた。3つ目は、「Accelerate」。新しいアイデアを持った人々により素早く製品化するためのエコシステムの構築を行っていきたいとした。

 MediaTekは日本企業との事業連携も積極的に進めている。従来も、家電メーカーやティア1サプライヤーに製品展開を行ってきた。コンシューマ向けには、2015年1月にソニーと液晶テレビ「ブラビア」に搭載するシステムLSIの開発で協業を発表している。「今後は、自動車やスマートホーム関連の連携を考えていきたい」(JC Hsu氏)とした。

 「IoTやコネクテッドカ―の時代で、日本は重要な市場だ。詳しくは言えないが、今回も日本の自動車メーカーとコンタクトをとった。今後は、IoT/自動車分野でのM&Aや出資、ジョイントベンチャーも考えている。そのために日本へやってきた」(JC Hsu氏)

左から櫻井義孝氏、JC Hsu氏、Martin Lin氏 (クリックで拡大)

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