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ルネサス「NXPのフリースケール買収は追い風」2016年3月期第2四半期の業績を発表

ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2015年10月30日、2016年3月期第2四半期(2015年7〜9月)の連結業績を発表した。

» 2015年10月30日 20時40分 公開
[庄司智昭EE Times Japan]

 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2015年10月30日、2016年3月期第2四半期(2015年7〜9月)の連結業績を発表した。売上高は、前年同期比13%減、前四半期比1%増の1814億円。営業利益は307億円で前年同期比では30.6%増だったが、半期末の費用集中や成長分野への研究開発投資増もあり、前四半期比で見ると5.2%減となった。

 半導体売り上げは、汎用向け半導体は非注力製品からの撤退影響や産業機器向け需要減で減収となったが、自動車向け半導体が減速した第1四半期の反動もあって伸び、前四半期比1%増の1770億円となった。

市場変動への対応力を強化

 2016年3月期第3四半期(2015年10〜12月)の業績予想は、売上高1630億円(前四半期比10.1%減)、営業利益140億円(同54.4%減)の減収減益とした。国内/東南アジア向け自動車販売が低調なことや汎用向け事業での非注力分野からの撤退影響が残ることなどを、減収要因として挙げた。常務兼CFO(最高財務責任者)の柴田英利氏は、「足元の市況は、弱含みだ。ただ(前四半期比10%を超える)減収幅は、(競合同様の)範囲内にある」との見方を示した。加えて柴田氏は「少し言い訳になるが、固定費削減により損益分岐点を引き下げており、市場変動への対応力を強化している」とし、売り上げが減少した場合にも、一定利益を確保できる体制であることをアピールした。

固定費削減により損益分岐点を引き下げ、市場変動への対応力を強化したとしている (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス
ルネサス エレクトロニクス会長兼CEOの遠藤隆雄氏 (クリックで拡大)

 一定の構造改革を終えたルネサスは、現在、事業を成長軌道に乗せることが喫緊の課題だ。事業成長を託され、今期から会長兼CEO(最高経営責任者)に就任した遠藤隆雄氏も「売り上げを伸ばすことが役割」とする。そうした中で、直近の業績/業績予想は、“売り上げ成長”という面では物足りないものだ。現状、自動車用半導体では、世界シェア首位の座にあるものの、同2位のFreescale Semiconductorを買収するNXP Semiconductorsなどにかわされる公算となっている*)

*)関連記事:2014年 車載半導体シェア、ルネサスが首位を維持

 遠藤氏は「現在の売り上げは、数年前、自動車向けであれば5〜7年前にデザインインしたもの。2年前から取り組んできている(デバイスとソフトウェアなどを組み合わせて提案する)ソリューション提案の成果は、2〜3年後の業績に反映される。現状のデザインインは好調であり、社内の雰囲気も良くなっている。今後も、ソリューション提案を強化し、成長を実現する」と順調さを強調した。

技術力に強化によって、製品ラインアップとソリューション提案力を強化していくとしている (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 NXPによるFreescale買収について柴田氏は「短期的には、当社にとって追い風かなと思える現象が起こっている。NXPとFreescaleは数字を非常に重視しており、これから大きく伸びるかつ高い利益が得られる市場に資源を集中させている。その戦略により、(NXP/Freescaleが資源を集中しない分野で)当社に魅力的な商談が多く舞い込んできているのは事実である。一方で、中長期で見ると(NXP/Freescaleは)ADAS(先進運転支援システム)分野を中心に力を入れた製品を投入しているように見えるので、そこは当社としても負けるわけにはいかない。そのために、研究開発投資を増やして対抗していく」と語った。

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