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» 2015年11月04日 09時30分 UPDATE

福田昭のデバイス通信 IEDM 2015プレビュー(2):IV族レーザーと高密度3D NAND技術 (1/2)

今回は、「IEDM 2015」で開催される予定のセッションから、セッション2と3を紹介する。セッション2では、IV族元素でレーザーを試作した研究成果や、GeのナノワイヤでCMOS回路を試作した研究成果が発表される。セッション3では、主にメモリ技術がテーマとなる。

[福田昭,EE Times Japan]

光らないIV族デバイスを「発光させる」

 前回に続き、2015年12月に開催予定の国際学会「IEDM 2015」をご紹介しよう。開催スケジュールに則り、今回は一般講演の初日である12月7日(月)の午後に予定されているセッションを説明する。

 前回でご報告したように7日の午前は基調講演、午後が一般講演という予定が組まれている。一般講演は8本のセッション(セッション2〜セッション9)が並列に進行する。最も多くのセッションが同時に進行するのが、この7日午後の時間帯だ。

12月7日午後の一般講演セッション一覧 12月7日午後の一般講演セッション一覧(クリックで拡大)

 それでは、8本のセッションを順番に見ていこう。最初はセッション2である。「ナノデバイス技術」をメインテーマとするいくつかのセッションの中で、「IV族デバイス」をサブテーマとする。

 このセッションの注目講演は2つある。1つは、IV族元素でレーザーを試作した研究成果である。ドイツのForschungszentrum Jülich他の研究チームが、レーザー発振に成功した(講演番号2.6)。シリコン(Si)基板の上にゲルマニウム・スズ(GeSn)化合物の微小な円盤を作製し、GeSnの円盤をレーザー素子にしている。発振波長は赤外線領域で、2.5μmである。レーザー発振に成功したのは室温ではなく、低温環境下だ。温度は135Kとまだかなり低い。

 シリコンやゲルマニウムなどのIV族半導体は、エネルギーバンドギャップが間接遷移型をしているため、発光素子を作製することはきわめて困難だとされてきた。発光素子では電子と正孔が再結合するときに発生するエネルギーを光として放出することが不可欠なのだが、間接遷移型では再結合エネルギーが光ではなく、フォノン(格子振動)に変わってしまうからだ。

 今回の研究成果では、GeSn結晶に歪みを与えることによってギャップを間接遷移型から、直接遷移型にずらしている。直接遷移型では再結合エネルギーはフォノンに変わらず、光となって放出される。

 もう1つの注目講演は、GeのナノワイヤでCMOS回路を試作した研究成果である。米国Purdue Universityの研究チームが発表する(講演番号2.1)。長さが40nm〜100nm、幅が10nm〜40nm、高さが10nmのチャンネルを作製した。nチャンネルFETとpチャンネルFETによってCMOSインバータ論理回路を試作した。Geはキャリアの移動度がSiよりも高い。このため、Siよりも高速に動くCMOS回路を実現できる可能性がある。

セッション2の講演一覧
セッション2の講演一覧2 セッション2の講演一覧(クリックで拡大)
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